15人が本棚に入れています
本棚に追加
「フランシス、貴方でしたか」
「あぁ、ここで唐戸様が準備をするまでの時間稼ぎを仰せつかっている」
準備ですか、また何かしらやらかすつもりなんでしょうけどそう簡単にはいきませんよ。
でもその前に彼には聞いておきたい事があります。
「なんで羽菜さんを裏切ったんですか、なんで未喜人さんを裏切ってあんな奴に着いたんですか!」
「その答えは簡単だ、アンドロイドは元からそういうものだろう?」
「なんとも思わないんですか!?貴方は羽菜さんと仲がよさそうでした、ずっと長い時間傍にいたんじゃないんですか?」
「あぁそうだ、俺にも羽菜様への信頼はあり、未喜人様への忠誠は変わらずここにある。長く住まわせてもらって、ずっとお二人を見てきたからな」
「でしたら!」
「だがな、それでもアンドロイドは与えられた命令には逆らえねぇんだよ」
苦虫を噛み潰すようにフランシスは吐き捨てる。
たとえどれだけ嫌な主でも、それに仕える以上命令には逆らえない。
そんな苦悩がありありとその表情からは読み取れた。
「悪いがここで足止めさせてもらうぞ、逢坂藍野」
「・・・・・・そうですね、なら、こちらも押し通ります」
フランシスを責めることは出来ない。
アンドロイドは基本的に主を選べない。
それぞれに調整された後は、現地でデータを確保して職務に当たる。
私だってずっとその在り方だったから分かる。
だからこそフランシスは命令として羽菜さんを拉致した。
だから憎むべき悪は唐戸だけで、フランシスはこの場では敵です。
頭を切り替えて、眼前の相手を睨む。
微かに息を吐いて、目先の相手に回路を集中させる。
最初のコメントを投稿しよう!