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「行くぞ、逢坂藍野」
その言葉と共にフランシスが飛び込み、気がついた時には懐まで潜り込まれる。
そこから右手に構えたナイフを眼前に繰り出そうとして、咄嗟に首を逸らす。
「っはぁっ!」
そしてその腕が首元を切り裂く前に腕を掴んで、そのまま一本背負いを決めようとする。
しかしそれも上手くは決まらず、受け身を取られた後に再び距離を取られる。
(なんつー速さ、油断してたらやられますね)
とはいえこっちも負けるわけにはいかない、向こうから突っ込んでくるなら先ほどと同じカウンター戦法をお見舞いするだけです。
「悪いな逢坂藍野、お前じゃここから出られねぇよ」
そういうが早いか今度はナイフを投げつけてきます。
それを弾いたら再び眼前にフランシスの姿が。
(この人、意識を他に誘導させてから攻撃してくるんですか!)
マジックなどでよくあるミスディレクションだ。
意識を他所に向けさせた後にその裏で準備をしておく手品の手法。
だけどそれは種が見破られれば笑い話になる手品と違って、こういう戦いの場では一瞬の油断が命取りになる。
それを誘発させてくるフランシスの戦い方は実に厄介極まりないものです。
今度はそのままナイフを何度も振りかざし、こっちはそれを回避していきます。
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