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目に映るのは幾度も髪先やスーツを切り裂く銀色の切先。
正直なんども回避できてるのは予測パターンの構築が上手く行ってるからで、下手なことされるならここですべてボツ、また1から作り直しです。
目前のナイフを何度も避けながら、フランシスの声が耳に届きます。
「逢坂藍野、お前は何故羽菜様に従う!お前とあの人は何の関係もないはずだ!」
「そりゃそうですよ、元々住む世界が違うんですもん!」
「ならばなおのことだ、バカなことをする!ここに来なければこうなることも知ることも無かっただろうに!!」
フランシスがナイフを浮かせ、その隙に鋭い蹴りが空を裂く。
身体を半分捻って回避する隙をついてフランシスはナイフを回収し、そのまま攻撃を続ける。
当たらなかったから良かったとはいえ蹴りまで入れてくるとは、本当に全身凶器ですか彼は。
「お前は関わるべきではなかったんだ、逢坂藍野。羽菜様をホテルに連れてきた後に姿を消していればよかった。そこまでがお前の仕事だろう」
「・・・えぇそうですよ、そこまでが確かに私の仕事でした」
本来の依頼はあくまでパーティーの開催まで、それ以降はどんどん追加依頼が積み重なっただけ。
私もマスターもそれを受ける義務はなく、適当な所で切り上げればいい。
でも、やっぱりそれを選ぶことは出来なかった。
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