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「ええ。彼女を主にいじめていたのは四人の女子たちだったようです。いじめの内容もなかなか凄惨なものでした。教科書やノートを盗んでトイレの便器の中に入れたり、万引きのような真似事を強要したり」
「それは気の毒ねえ」
まるで他人事のように敏江はつぶやく。
僕は話を続けた。
「いじめをしていた四人は、いつも一つのグループになって一緒に行動していたそうです。それはさておき、なぜ彼女がいじめのターゲットに選ばれてしまったのか……。それは今となっては一切不明です。女子同士が持つ特有の嫉妬心が原因だったのか、それとも面白半分でからかっていたのが、いつの間にかエスカレートしてしまったのか……。いずれにせよ、愛娘を失ったご両親の悲しみは、察するに余りあります」
「確か、残されたご両親と弟さんは、それからすぐに遠くの街へ引っ越したと聞いた気がするわ」
「ええ、そうらしいです」
「でも、よくわかりませんね」
言いながら敏江は小首をかしげた。
「え……?」
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