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イケメン(自称)の豆知識
僕は消し炭となった大蛇の亡骸に転がった愛剣を拾いあげる。
「エレボス、僕の愛剣……凄くないか?」
「ええ、凄いですね。大蛇の硬い牙まで消し炭となったのに。この間、新調して正解でした」
「なによ……文句でもあるって言うの!」
フォルトゥナはエネルギッシュだけど、パーティーの要だからね。
「いや、フォルトゥナのエネルギッシュな炎魔法でも、溶けなかったのを褒めていたのさ」
「含みがあるけど……許すわ」
触れても全く熱くもなかった愛剣を腰の鞘に戻すと、僕たちは目の前に現れた金の宝箱に注目する。
流石に、ボスを倒して獲得できる宝箱にミミックはいない。
「今回、一番頑張ってくれたフォルトゥナにまた開けてもらおうかな」
「アタシより……アドニスの方が、頑張っていたと思うんだけど……」
「今のは、ツンデレのデレ部分ですか?」
一瞬だけ、2人の時間が止まったように部屋が冷たくなるのを感じた僕は、首を傾げる。
「うっ、うるさいわよ! この、腹黒僧侶!」
「――誰が腹黒僧侶ですか」
2人は、こうやってたまに言い合いをするのだけれど、仲が良くて僕は嬉しいよ。
《これを見て、仲良しと言えるのは、アドニスだけでアル》
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