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V
「俺の仕事、手伝ってくれるなんてどうしたんですか?」
「成瀬さんに頼んだの。マオの力になりたいって」
私はマオとの距離を縮めたい。傍にいたい。
そのためにマオを知りたいのだ。
成瀬紀香は”あの子、人の心の機微に疎いところがありますからね”と私の提案を快諾してくれた。おまじないを調査してレポートを出すところまでがお仕事だ。
「そういえば、どうやって昨日のリストはつくったの? 街頭アンケートとかヒアリングかしら?」
「あぁ、こんな感じです」
マオはなんの躊躇いもなく通行人の女性にぶつかる。
「え?」
ヒールを履いた女性がよろめいて、マオはそれを至極丁寧に抱き留めた。マオが謝罪をする間、女性はマオの端正な顔立ちに見惚れている。
(羨ましい)
こういう時に背が高くて顔が良いのは卑怯だ。
しかし、マオの手元をよく見るとメモと写真を引き抜いていた。彼女のスカートのポケットの中からだ。彼女が立ち去った後、マオは私に振り返る。
「ほら」
「ほら、じゃなーーーーい!」
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