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「こ、このおまじないのことですか!? は、恥ずかしいなぁ。今まで女性とお付き合いしたことはないんです。でも、お付き合いして何かしたいって書くことで前向きになれてーー」
「別にいい歳だし信じてなんかないわ。でも、イイ男の写真を見ると気分がアガる。そうでしょ?」
「もう相手は居るけど、彼にこのおまじないをやらせてみたら、初めてデートプランを考えてくれたの! これまでは受け身だったけど、自分で動いてくれるようになってーー」
これは街の人たちの声だ。
私は内容に相槌をうって、一人一人にお礼を伝えていく。
「ありがとうございました! 粗品ですがチョコレートです。あなたの恋がうまくいきますように」
これは共同作業だ。
マオがポケットの中におまじないの品を入れているかを見て、私が詳細をインタビューをする。マオがそれを書き留め、私がお礼を伝える。
一区切りして、私はマオに尋ねた。
「もう十人は聞いたわ。ここまででどう感じたか教えてちょうだい」
「俺がしたアプローチよりも濃い情報が手に入るように見えます。雑誌やネットで見たデート像をそのままうつしていたりもしますね。後は......俺が思ったよりも、ずっとおまじないを大切にしているように見えました」
私も実際に話を聞くまではここまでだとは思わなかった。街の人たちはポケットに秘密や願望を入れることを楽しんでいる。
「そうね。好きな人と一緒にやりたいと思えることがある。それだけで幸せな気持ちになれる人も多いみたいね」
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