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プロローグ
バタン! ──────
ウトウトしかけていた意識の中で、一人の青年は背後のドアが閉まる音を聞いていた。
「……がっつくジジィだぜ、全く」
“行為”後のこの気怠さに軽く舌打ちしながら、その青年は痛む体をゆっくりとベッドから起こす。
ふと視線を移した先にあったのは、休みなく時を刻み続けるデジタル時計。時刻は午前二時を少し回ったところだった。
ベッドサイドのテーブルには、無造作に置かれた数枚の万札。それらを一瞥した彼は、大きなため息をつきながら目にかかる前髪を無造作に掻き上げた。
そして彼はそのお札の傍に置いてあった携帯を手にすると、慣れた手つきで連絡先を表示しタップする。再びベッドに横になりながら、携帯を耳にあて数秒のコール音の後に聞こえてきた若い男性の声に耳を傾ける。
「……もしもし? あ。オレ……ハルトだけど。マネージャーいる? ……いない? マジかよ。ったく、どこ行ってンだよ」
“ハルト”と名乗った彼は、ボスッと勢いよく枕に頭を預け脱力した。そしてそのまま電話越しの相手と会話を続ける。
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