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「遅い! “大”遅刻じゃ!」
「大沢くんにそのセリフを云われる日が来るとは……思ってもみなかったよ」
「何やと!?」
あれから黒崎が座っていた椅子に腰掛けた佐藤だったが、いつの間にかウトウトしてしまったらしく、気付いた時には大沢と別れてから二時間はゆうに経っていた。慌てて部室に直行した佐藤が真っ先に受けたのは大沢の洗礼であった。だが佐藤は、余裕顔でサラリと大沢の嫌味をかわす。
「大丈夫? 大沢には調子が悪いって聞いたけど。無理ならこのまま帰っても……」
「ありがとう。もう、平気だから」
佐藤は心配そうにそう云う米倉に柔らかく微笑み返すと、ギタースタンドに立てかけてあったギターを手にとった。そして佐藤は簡単なサウンドチェックを行うと、既にスタンバイOKな米倉と大沢に頷いて見せる。
そして今日も練習が始まった。自習時間の時とは大違いの出来ぶりを見せた佐藤に、大沢がまたしつこく絡んできたのは云うまでもないだろう……
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