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罪な思い×罪の意識=PUER
ここは都立青陵高校の軽音部室。その部室内に、灯りも点けないで一人の青年がギターを抱えて椅子に凭れ掛かっていた。
「どうしたの? 佐藤くん。電気も点けないで」
その声と共に、薄暗かった室内が一気に明るくなり佐藤、と呼ばれた青年は一瞬の眩しさに目を細めた。手で目を覆っても、暗闇に慣れた目は眩しい程の光に悲鳴を上げていた。
そして部室内にいたギターを抱えた青年……佐藤 要司は、眩しさに慣れてきた目で声のした入口へと視線を移した。そこには電灯のスイッチに手を伸ばした少し小柄な青年が立っていた。
入口に立つ青年……米倉 信也は佐藤よりも一つ先輩の高校三年生。今の時期、米倉と同学年である他の生徒たちは受験などで悲鳴を上げている筈なのに、彼は何故かこうして余裕で毎日放課後クラブに顔を出していた。米倉は男子高校生の平均身長より小柄な体躯で、ふわふわの茶髪は生まれもっての地毛。幼いとも形容できる容姿からは想像もできないほどのしっかり者で、見た目とのギャップに戸惑う者は数知れない。
「薄暗いトコにいると目が悪くなるって云うよ?」
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