罪な思い×罪の意識=PUER

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 毎日来ているのは佐藤と米倉とあともう一人……大沢 祐貴(おおさわ ゆうき)と云う関西出身の青年の計三人だけだった。後の者たちは来たい時に来る、と云うスタンスの者ばかりだった。部員の中には、部室自体がどこにあるか分からない者や、活動を一度もした事のない者などもいた。  米倉・佐藤・大沢の三人でグループは構成されており、担当は……ギターに佐藤、キーボードに米倉、ボーカルに大沢となっていた。しかし今年で米倉が卒業してしまう為、グループは佐藤と大沢の二人ユニットになってしまう。 「あぁ、それ? それは違うんだ。大沢くんの声をイメージして作ったわけじゃなくて……どっちかって云うと、その曲に合った声を探してる……みたいな感じかな」 「ふ~ん……」  米倉はじっとスコアの上に綴られた音符を目で辿っていた。 「やっぱり、今回の学祭の曲は信ちゃんに作ってもらおうかなって思ってる」 「どうして?」 「だって、大沢くんの声……信ちゃんが一番活かせると思うし。それにオレ……どうしてもあの声のイメージで曲が作れないんだ」 「……」
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