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「まぁ、大沢くん最近遅刻が多いから。多分その事じゃないかな? 内申書に響くとかどうとか。だから“将来”じゃない?」
「あぁ、なるほどね」
「サトやん! 要らん事喋りすぎやぞ! 信ちゃんもカンタンに納得せんといてぇな。間違うてはないけどや……」
大げさに肩を落とした大沢の言葉に、佐藤も米倉も大爆笑だった。
佐藤と大沢は同じ二年生で、その上クラスも同じなのである。一年生の時も同じクラスだったので、今ではかなり親しい間柄となっていた。
だが、誰にでもオープンで明くるムードメーカーな大沢に対して、物静かで……良く云えばクールで独りを好む佐藤。一見対照的で同じクラスにいても仲良くなりそうもない二人が近づいたきっかけは米倉だった。最初、二人は予想通り同じクラス内でも一言も喋らない関わりのない関係だった。だが一年生の始めの頃、先に大沢が軽音部に入って持ち前の馴れ馴れしさ……親しみやすさで米倉と親しくなり、遅れて佐藤が入部し米倉が大沢との仲介役となった。それで二人は実は同じクラスだった事を知るほどだったのだ。
あのままであればタイプの違う二人、きっと歩み寄るきっかけもなく単なるクラスメイトで終わっていたのかもしれない。
「大沢くんさ、マジでこれ以上遅刻・欠席したらヤバイんじゃないの?」
「やかましい! しゃーないやろ。バイトが深夜まで長引く事があるんやから」
「あぁ、あの服飾関係のバイト? よく続くねぇ」
佐藤の冷静な言葉に噛み付く大沢。米倉はため息をつきながら腕を組んで大沢のバイト先を思い出していた。
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