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第0章 序章。
織田信行「琴葉、乱世が始まったのはいつからだと思う?」
織田信長の実弟である織田信行は、
末森城にて最愛の妻・琴葉の身体を抱きしめながらそれはまた難しい問いを投げ掛けました。
琴葉「殿?それは応仁の乱からではありませんか?恐らくではありますが…応仁の乱により室町幕府の権威が失墜し力を求めるものが増えたという事ではないのでしょうか?」
琴葉…森琴葉は美形の小姓と名を馳せている森蘭丸の末弟である坊丸の子孫として産まれたもののタイムスリップをして今は織田信行の正室として末森城に住んでおりました。
織田信行「さすがは俺が唯一生涯を懸けて愛すると決めた女性だ…。素晴らしき答えである。」
琴葉「あら?あまり持ち上げられると何だか気恥ずかしいものがありますわ…。どうなさったの?」
織田信行「ハハッ、いや。そなたがあまりにも可愛らしく思えたのでな…」
琴葉「あら?嫌ですわ。私を揶揄いになられたの?」
琴葉をいつも揶揄いながらも
そこに愛があるのは知っていましたので琴葉も幸せそうに笑っていました。
織田信長「いつまで浅ましい夢を見ておる。そなたの見ているのは過去の記憶、追憶ではないか?今、そなたの隣におるのは…」
次の瞬間、自らの事を第六天魔王と名乗る織田信長が琴葉の前に現れたと思ったら次の瞬間、信行は変わり果てた姿となり琴葉の腕の中で命の灯火を燃やし尽くしてしまったのでした。
最愛の人を手討ちにしたのは…
琴葉「嫌!想い出させないでー!」
琴葉は今、目の前にある現実を受け入れる事が出来ず自らの両耳を自らの両手で塞ぎ叫んでいました。
すると…
琴葉は誰かに揺り起こされ…
その目を覚ましました。
琴葉「信行様?」
しかし…
隣にいたのは今でも恋しい信行でも
琴葉「坊丸?」
信行と共に成長を楽しみにしていた愛息の津田信澄でもなく…
池田恒興「毎日毎日、飽きずに同じ夢を良く見るものだ…。信長様とお話していた方がまだ心穏やかなのだが…」
琴葉にとって2度目の夫であり、
琴葉「信行様の仇である貴方に心穏やかな生活をさせるはずがないでしょ?それを考えた上でお話になっているのでしょうか?」
信長の命令で琴葉にとって最愛の夫である信行を手討ちにした仇でもあり…
池田元助「父上、母上、お止め下さい。知紗が泣いております。」
3人の子どもらにとっては、
唯一の父親でございました。
中でも娘が欲しくて堪らなかった池田恒興は漸く産まれた娘である知紗をそれはそれは溺愛しておりました。
池田恒興「知紗を泣かしてはならぬとあれ程言ったではないか?我が家の家訓を破ってはならぬ…」
とは、言いましても知紗は15歳で、
もう既に元服をしておりますが…
子どもにとっては父母の争いなど…
見たくはないものではありました。
池田恒興「知紗、機嫌を直してくれぬか?そなたに泣かれると父は…とても辛くなってしまうのだ…」
知紗「では…仲良くして下さりませ。理由はどうであれ父上と母上は数多の月日を共に過ごして来たのでは?」
知紗からの言葉に琴葉は、
心底困り果ててしまいました。
すると…
池田輝政「…知紗、母上を困らせてはならぬ…。母上にも数多の災難が降り掛かったのだから…」
知紗の兄であり3兄妹の次男である
池田輝政が母である琴葉を庇い…
池田元助「…複雑な心境ではあるが、輝政の申す通りだ…。だから聞き分けよ。これが我らの父母なのだから…」
長兄であり異父兄の津田信澄の事を1番気にして嫉妬していたはずの元助さえも琴葉を庇い出したのです。
これには知紗も…
知紗「私は池田家の中で除け者なのですか?母上に降り掛かった災難について私にも教えて下さりませ。」
自分だけが知らなかった事に悲しみと憤りと疎外感を覚えてしまいました。
さすがに理由はどうあれ我が子のそんな姿を見るのは悲しさを覚えた琴葉は
話をする事にしました。
琴葉「では…仕方ありません。
お話する事に致しましょう。」
時は西暦1584年04月15日。
時刻は辰の刻〈=現在の時間では、
午前8時の事です。〉
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