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第0章 序章。
時は、西暦1613年03月15日。
場所は播磨国〈=現在の兵庫県〉にある姫路城の本丸でございます。
輝政「督姫、
そなたは私の母に似ている…。」
播磨姫路藩の初代藩主である輝政…
池田輝政は48歳になったこの年
病の床に臥してしまいました…。
督姫「…輝政様、
気を確かにお持ち下さりませ…。」
輝政の継室である督姫は、
小田原北条氏最後の当主となった
北条氏直の正室でした…。
但し…実家である徳川家と婚家である北条家の仲が違えた事により…最愛の夫である北条氏直と渋々離縁しました
輝政「…お互いに大切な人と別れた経験を持つ者同士、お互いの痛みを理解出来る人と縁が結ばれた事は本当に幸せな事だと思っている…」
輝政も中川家から迎えた糸子が産後の肥立ちを悪くしてしまい…渋々実家に帰らせた事で離縁が成立しました。
離縁の連鎖は続く…とは聞いた
事がある輝政ではございますが…
輝政の母親であり恒興の元へ再嫁した琴葉の背負った運命は…かなり特殊であり悲しいものでした。
それと同じく信行よりも琴葉から愛されたいと琴葉からの愛情を心底、
希っていた恒興も
信澄よりも母から好かれたい…
母の期待に答えたいと願っていた
輝政の兄である元助も…
いつしか輝政は…
輝政「戦国乱世とは…破壊と再生を繰り返しながら歩んでいくものだ…」
そのような事を悟り出すようになり…
人生48年、寡黙に…忠実に…生きる事を心掛けてきた男は自らの母親が歩んだ破滅と再生の物語を振り返る事にしました…。
輝政「母上は…何度も破滅を見つめながらも…生きる事を…明日を夢見る事を忘れず前を向いて生きておられた…」
歴史に名前を遺してはない女性達ではありますがその子孫達の記憶では…
鮮明にその生きた証を記していました
督姫「…輝政様…」
輝政の継室である督姫は、
病の床に臥しながらも〈母〉の事ばかりを懐かしみ口にし続ける輝政の態度に複雑な心情を懐いておりました…。
しかし…
督姫「私も義母上様のように気丈な振る舞いが出来るような女性になります。」
夫である輝政に対して気遣いを失わず
丁寧な態度を心掛ける督姫に対して
輝政「督姫のような慎ましい女性と所帯を持つ事が出来て私は幸せだな…」
輝政も感謝と慈しむ心を
持ち合わせておりました…。
そんな輝政を産み育てた母親・
琴葉が歩んだ破滅と再生の物語とは…
琴葉「…どうして戦国乱世は、
破滅ばかりを生み出すのだろうか?」
琴葉は戦国乱世で何度も何度も
破滅を経験しその都度新たな物語を
再生させながら生きてきました。
その物語の始まりは…
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