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西暦1554年08月21日。
信長の弟である信行は…
末森城の庭先で鳴く
蝉時雨の声を聞いていました。
信行「蝉の寿命は世に出てから
たった1週間だそうだですよ…。」
絢葉「信行、辛気くさい事を言わないで欲しいわ。私はただでさえ虫が嫌いなのに…」
絢葉…尾張地方でそれなりに有力である豪族・土田氏の娘で今は亡き織田信秀の正室でございました。
信行「申し訳ありませぬ…母上…。」
信行が不機嫌な母親に謝った
まさにその時…
ゴロゴロ…!
絢葉「晴れていたのに急な天気急変。
蝉の責任だわ…!青天の霹靂だなんて…だから虫は嫌いなのよ。」
絢葉が文句を言いながら…
城の中に入ると…
ゴロゴロ…バリバリバリ…
絢葉「落ちた!?近いわね…!!」
近くに雷が落ちる音が聞こえ…
眩しい光りを感じ信行が目を閉じると
何かの気配を感じました…。
それからしばらく経ち信行が目をゆっくり開けると目の前に女性が倒れていました…。
信行「君!?君!!」
信行はその女性に声を掛けましたが
反応はなくその女性を末森城の中で
面倒見る事にしました。
絢葉「…また何事かしら?」
絢葉は首を傾げながらも
その不思議な女性の面倒を見ていた…
やがて…
信行「目を覚ましたと聞いて…
慌てて駆けつけたんだが…」
女性「お騒がせして申し訳ありませぬ。私の名前は…森 琴葉と申します。」
信行に自身の名前を告げた女性でしたがその名前に違和感がありました。
信行「森家は兄に仕える小姓の名字が森だが確か女性は存在しないはずだが…」
森家で有名な小姓と言えば…
森 琴葉「蘭丸さんなら…
確か…祖先の兄に当たります…。」
信行「祖先の兄…?また奇怪な事を口にするのだな…雷に撃たれたのか?」
信行は
琴葉の言葉に首を傾げながらも…
その発言に興味を持っていました…。
琴葉「家系図なら…私、持ってます。」
琴葉は何故か家系図を持っており
その上の方に蘭丸の名前がありました
信行「…まさか…?」
証拠を見せられたとしてもなかなか
事実だとは受け入れがたい事柄に…
絢葉「…まさか…?」
信行と絢葉の母子は、
頭の中が混乱してしまいました。
しかし…
信行「母上、このままでは…琴葉も困りますし私の正室として寄る辺を作る方が先決であると私は思います。」
現代〈=西暦2024年〉を生きていた琴葉はタイムスリップを果たし戦国時代に来てしまったため織田信行の正室として末森城にて生活をする事になりました…。
琴葉「殿、私のような身分もなく
不可思議な存在である者を正室にして下さり感謝してもし足りませぬ…」
信行「…礼には及ばぬ…」
信行には秀孝という弟がおりましたが
病弱であり幼い頃からいつも部屋にいたため秀孝は精神状態が幼いまま成長してしまいました…。
秀孝「…義姉上、蝶がおりまする…
蝶を捕まえて差し上げまする…」
琴葉「蝶にも命があります故、
無闇に捕まえてはなりませぬ…」
秀孝は琴葉の言葉ならば聞くようで…
結局、蝶を捕まえる事を止めました。
信行と琴葉は…
祝言を挙げてからというもの…
色んな話をしました。
琴葉「…そろそろ殿の子を産みたいと望むのは高望みとなりますか?」
琴葉と信行に子どもが産まれたのは、
西暦1555年07月07日の事でした。
信行「この子の幼名は坊丸にする…」
こうして信行と琴葉の間に産まれた
坊丸でしたがそれからすぐ信行に
不幸な出来事が起きてしまいました。
それは…
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