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信行「秀孝が…死んだだと…?」
坊丸が産まれて約ひと月が経った
08月15日の事にはなりますが、
秀孝は秘かに城を抜け出し…
信行らの叔父である織田信次が主を務める守山城の近くに変わり果てた姿で倒れていたところを発見されました。
信次「…私は知らぬぞ…。」
信次は秀孝を溺愛していた織田家中の怒りを一身に受ける事になり…その身を震わせたかと思いきや
咲良「殿は…
どちらに行かれましたの?」
恐怖のあまり正室である咲良と
子ども達を置き去りにしたまま
姿を消してしまいました。
信行「草木を踏み分けてでも
あの男を探しだし秀孝と同じ目に遭わさなければ私の気が済まぬ…!」
変わり果てた秀孝の姿を見た
信行は人が変わったかのように…
復讐しか目に入らなくなりました。
琴葉「殿…信次は消息不明となり
咲良殿も探してはおられますが…
見つからないようでございます。」
すると…
信行「では…信次の大切な妻子を同じ目に遭わせてやろうか?それを知ればあの者とて良心の呵責に耐えられぬのではないのか?」
琴葉「殿…?」
絢葉「信行…
貴方、正気を失ったのではないの?
貴方の優しさを慕っていた秀孝がそれを知ればどれ程傷つくか分かる?」
自らのお腹を痛め産んだ子を喪い
絢葉とて喪失感でいっぱいになり…
その身が壊れるくらい悲しみました
しかし…
次の瞬間、
絢葉の喪失感と信行の怒りは…
疾風「信長様からの遣いで参りました。此度の件、供も付けずフラフラと歩いていた秀孝様に非があり…守山城の者達は不問とする…と信長様は仰せになられました…。」
疾風…信長付きの忍びで
出身は伊賀国である。忍びらしく表情は変えず淡々とした話し方をする。
絢葉「あのうつけ者!秀孝は精神状態が幼いまま成長してしまった故に自分が身分のある者だと知らなかっただけなのに…」
信行「…信長!」
全て信長に注がれる事になり…
最早兄弟相対する決戦は避けられない状態となりました。
琴葉「兄上様と戦うなど秀孝様は、
お望みになられませぬ…。」
琴葉は懸命に止めましたが…
柴田勝家「奥様、男には諦められぬ戦もあるのでございます…。織田の家督は品行方正であられる信行様が継がれるのが道理ではないのでしょうか?」
信長の方針に逆らい信行に家督を継がせたいと願う柴田勝家と林通具でした
こうして1556年 稲生の戦いが起き…
琴葉と信行は戦いの渦に巻き込まれて
しまいました…。
信長は稲生の戦いが始まるとすぐ
自慢の大声で信行軍の兵士達を一喝。
当主である信長に逆らって信行の味方をしていた兵士達は散り散りとなり
勝敗は決しました…。
信長「信行、俺に逆らった事、
その命を持って償うが良い…。
琴葉の再嫁先は俺が面倒を見てやる。」
すると…
絢葉「お待ちなさい、坊丸もまだ小さく琴葉も信行と離れる事を望まない…。
1度なら…命乞いをしても許されるでしょう?まさか…この母に2度子を喪えと命ずるつもりではないわよね?」
信長と信行の母である絢葉が、
信長と信行、琴葉を隔てるように
立ちました…。
そんな母親に対して信長は…
ため息まじりに…
信長「勝手なお方だ…。」
そのように呟くと信行、柴田勝家らの罪を一旦は許しました…。
無論、その一旦の意味は…
信長『次、裏切る事があらば…
次こそ容赦せぬ…』
と、いう意味に他ならないのですが、
信行の瞳は秀孝を喪ったあの日から光りのない濁った目をしていました。
琴葉「殿?」
琴葉の問い掛けに対して
信行は…殻になったかのような
力のない頷き方をしていました。
…
琴葉も最愛の夫である信行の変わりように恐さすら感じてしまいましたが…
琴葉「坊丸を裏切るはずがないわ…
殿は…きっと…立ち直る…はず…」
最愛の夫を信じる事を決めましたが、
事態は…悪化するばかりでした…。
西暦1558年07月07日。清洲城
信長「また…謀反だと…?」
信行が信長を再び裏切ろうとしている事を信長に知らせたのは…
柴田勝家「左様でございます。」
信行の教育係を務めていた
柴田勝家でした。
織田信長「ふむ、仕方あるまい…。
俺は今より病で臥せっている…という事にして信行を誘う事にする。」
柴田勝家「はっ!」
こうして信行は信長の見舞いに訪れた清洲城にて暗殺されてしまいました…
琴葉「信行様が…死んだとは…
何かの間違いではないのですか?」
西暦1558年08月15日。
清洲城に呼びつけられた琴葉は、
信長より事の次第を聞きました。
但し…
事の次第のみで済まないのが信長。
信長「琴葉、夫の罪は妻が被るべきではないだろうか?それ故、そなたには池田恒興との再嫁を命じる事とする…」
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