第2章 池田恒興の正室。

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第2章 池田恒興の正室。

西暦1558年08月21日。 池田恒興「琴葉…これから末永く…」 池田恒興は琴葉に告げる祝言の言葉を噛まないように練習をしていました。 信長「恒興、何をしているのだ…? 練習をしなければ花嫁相手に祝言の言葉を告げる事なぞ出来ぬか?」 信長に揶揄(からか)われた恒興は、 耳まで真っ赤にしながら… 恒興「琴葉は凛と咲き誇る花のように美しく俺のようなものがまさか…妻に出来るなど…」 恒興は信長の弟である信行の正室である琴葉に対して秘かに恋心を懐いていたのでございます。 信長「そなたは賑やかで良いが… 琴葉にとっては最愛の夫の時を止めた 憎き敵の兄弟同然の存在ぞ…。事が起きぬように気を張って生活するよう警告しておこう…」 琴葉は短刀を忍ばせたまま 恒興が来るのを待ち構えていました。 琴葉「殿が下さった短刀で我が身を守り私は殿の元へ向かう道を選びます。」 殿(との)とは… 無論、恒興の事ではなく、 信行の事になります。 恒興は琴葉がこんな事を企んでいる事など知る由もありません。 恒興「…琴葉…」 恒興が夫婦の居室に入ろうとした まさにその時… 琴葉「夫の仇!覚悟せよ!」 琴葉は信行に貰った短刀で 恒興を討とう…とまではいかぬでも 信行の(あだ)を討つつもりでした しかし… 恒興「琴葉、どうして…?」 琴葉に惹かれている恒興からすれば… かなりの大打撃となりました。 琴葉「…殿を織田に奪われたと思えば…坊丸までも織田に奪われ…私は信長にとって兄弟同然の男に嫁ぐ事になる…」 坊丸は信行と琴葉の嫡男であるが故 信長は信長を憎む琴葉に育てさせるより柴田勝家に育てさせる事で織田への憎しみを極力抑えさせようとしました 恒興「そんなに俺が憎い?」 恒興は今にも泣き出しそうな顔をしながら琴葉を見つめておりました…。 琴葉「…まだ…気持ちに整理がつきませんので…返事が出来ません…」 琴葉は信行とは性格(タイプ)の 違う恒興という新たな夫に対して 戸惑いを感じておりました。 恒興「そうか…」 琴葉の言葉に恒興は、 悲しそうな声色で呟きました。 琴葉と恒興は毎日顔を合わせていたものの恋が始まる雰囲気ではなく… 琴葉「おはようございます、旦那様。」 恒興「ああ、おはよう。」 そんな恒興の事を1番案じているのが 信長「…昔のお見合いか?」 乳兄弟である信長でした。 恒興「いきなり距離を縮めても… 琴葉のためになりませんので…」 恒興にとっても今の状態は、 悲しいものでございました。 信長「好いているなら好いていると言葉にしなければ届かない…のではないのか?」 信長にも似たような経験があり… 恒興の気持ちが痛い程…分かるので… ある話を恒興にしました。 それは…
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