第2章 池田恒興の正室。

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そんな毎日で時ばかりが過ぎる中… 琴葉は恒興と共にある場所を尋ね… 自身の見識を改める事になりました。 その場所とは無論… 信長「琴葉…参ったか…?」 信長の居城である清洲城…ではなく… 吉乃「いらっしゃい…琴葉様。」 信長の側室でありその寵姫でありながら琴葉と同じく未亡人だった吉乃こと生駒類の住んでいる生駒屋敷です。 琴葉「どうして…吉乃様は夫である弥平次様ではなく信長様を愛せるの?」 琴葉は信長と恒興、それに(しの)やまだ幼い奇妙丸達のいる前で… 吉乃「単刀直入な方ですね、 琴葉様は…。ならば…お話します。」 単刀直入な問い掛けをするので… 恒興と信長はあ然としたまま… 吉乃は苦笑いを浮かべておりました。 琴葉「もしかして…聞いたらダメなお話だったかしら?殿…?」 恐る恐る後ろに控える殿こと 恒興に尋ねた琴葉でしたが… 恒興「ダメに決まってるだろう?」 無論、恒興からは…失礼を極めた質問をした事を咎められてしまいました。 吉乃「構いませんよ、信長様もあ然とはしておられますがこのような女性は…」 信長「嫌いではない…」 奇妙丸と茶筅丸が年子で産まれる程 とても仲の良い夫婦である吉乃と信長 恒興「息がものすごい合ってるだろ?」 その仲の良さと言ったら… 恒興までも感心してしまう程でした。 琴葉「殿ったら…」 恒興の話に相槌を打つ 琴葉もいつの間にやら… 恒興「俺を殿と呼ぶのにも… 慣れたのではないのか?」 信行が生きていた頃と変わらず 自然な声で恒興の事を呼んでいました 琴葉「…殿と呼ぶのにも慣れました。 数、増やせば何とかなるものです…」 ただ… 残念ながら素直な性分ではないため、 恒興「それを言わなければ… 良い妻なのだが…」 照れ隠しで余分な事を言うのが… 吉乃「玉に(きず)ね…。では… それはともかくとしまして…私の別れと再生の物語をお話しますね…。」 吉乃こと生駒類にとって 最初の夫だった土田弥平次は… 吉乃「美濃国の豪族で信長様の母御であられる絢葉様の親戚筋になりますわ…」 琴葉「絢葉様の…」 吉乃は絢葉の名前を語りながらも 信行の影を想い出そうとしている 琴葉の事を気づきながらも…気づかない振りをしておりました…。 吉乃「…紹介して下さったのは絢葉様でそれはそれは素敵な夫でしたわ…」 ただ…信長すらもこの言葉には… 信長「若干の嫉妬を覚えるな…」 嫉妬という負の感情を懐いたようで… 吉乃「申し訳ありませぬ…」 これにはさすがの吉乃も 平謝りしておりました…。 信長「…生きている者は… 死んだ者には敵わない…」 信長ですらも命を落とした寵姫の前夫に嫉妬を覚えてしまうだなんて… 恒興「苦しんでいるのは… 俺だけではなかったのですね…」 これには恒興もほっと胸を撫で下ろし 信長も優しい笑みを浮かべました…。
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