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コンガ師匠
「僕を弟子にしてください!」
そう、コンビニ店長であり、忍者であるゴリラに告げた。
「そんないきなり弟子入りされてもなぁ……」
「いいじゃないですか、コンガ師匠。弟子が三人だろうが四人だろうが、かわらないでしょう?」
「お前は喋りすぎなのよ」
店長は、咲耶を小突く。
「……もう、弟子がたくさんいるんですか? 僕も一生懸命頑張りますので!」
店長は、はぁ、とため息をついた。
それから、しゃがみこんで僕の目をしっかりと見つめる。
「君が思ってるような、かっこいいもんじゃないぞ?」
「かっこいいから、なろうとしている訳ではありません!」
「人に紛れて仕事をするけど、忍者の仕事だけでは食ってはいけないぞ?」
「僕はまだ小学生だから、仕事のことはまだ考えきれてないけど……がんばります!」
僕の揺るがぬ思いを感じ取ってか、そうか、と溢す店長。
「岩爺様に通してみるか……」
「そうこなくっちゃ! 私からもおじいちゃんに言っておくね!」
僕は、きょとんとした。
しかし、会話の流れ的にーー
「それって、OK、ってこと?」
「みなまで言わせるな」
咲耶は、にこにことして僕を見ている。
店長は、少し浮かない顔ではあるが、頷いた。
「ありがとうございます! 店長!」
「店長だけど、名前はコンガっていうから、コンビニ以外の時はそう呼んでくれ」
「私は、咲耶だよ~、あなたの先輩だからね!」
「はい! コンガ師匠に咲耶先輩! 僕の名前は、タツキです! これからよろしくお願いします!」
僕は、改めて深々と頭をさげた。
「すみませーん、レジお願いしまーす」
「あ、はい、ただいまー!」
コンガ師匠は、風のようにレジへとむかった。
僕もいつか、こんな立派な忍者になるんだ、そう強く誓った。
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