拝啓、大好きな先輩へ

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私の制服のポケットの中には今、 先輩に渡すラブレターが入っている。 今日は先輩の卒業式。 先輩に会えるのは今日が最後…… ずっと憧れだった先輩。 カッコ良くて、優しくて。 周りの女子からもすごくモテてて。 近所に住んでいることもあり、 私のことを妹のように可愛がってくれた とても優しいお兄ちゃんのような存在。 ずっと告白したいと思っていた。 でも私にはなかなか勇気を出すことができなかった。 それでも、もう 先輩にラブレターを渡せるのはこれが最後のチャンス。 このチャンスを逃したら、 もうずっと先輩に会うことは出来ない。 卒業式を終えた校舎から先輩が一人で出てくる。 本当にこれが最後だから。 私はポケットの中のラブレターを握りしめる。 そして、勇気を出して先輩のところに駆け寄った。 声をかけようとしたとき。 可愛い女の先輩が駆け寄ってきて、一緒になった。 もしかしたらもう…… 先輩はこの人と付き合っているかもしれない。 私はポケットの中のラブレターをぎゅっと握りしめた。 先輩が私のことを気にかけて声をかけてくれたけど…… 私はポケットの中のラブレターを出すことができなかった。 焦った私は慌てて誤魔化そうと ポケットの中に一緒に入れていた使い捨てカイロを 先輩に押し付けるように渡した。 そしてすぐに、 そこから逃げるように去った私。 校舎の影に隠れて、膝を折り 勇気が出せなかった自分に泣いた。 ポケットの中に入れていたラブレターを 悔しくてぎゅっと握りしめる。 けど。 その感触がなぜか違っていた。 私は恐る恐るポケットの中の握りしめたものを取り出した。 ポケットの中に一つだけ。 入っていたのは使い捨てのカイロだった。
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