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麻由と智樹は友人の紹介で知り合った。
智樹は積極的で明るく、それでいて誠実で真面目な性格をした男性だった。背が高くて体格がいいところにも、頼もしい印象を受けたものだ。
けれど麻由が惹かれたのは、彼の自信に満ちた明るい瞳だった。智樹はどんな時でも胸を張って堂々としており、まるで太陽のように輝いて見えた。
麻由は自分に自信が持てず、いつも後ろ向きなことばかり考えてしまう性格だった。だからこそ、自分とは正反対である彼に憧れを抱いたのだ。
『キミさえよかったら、僕と結婚してほしい』
智樹にそう言われた時、麻由は天にも昇る心地だった。彼は結婚相手として申し分ないどころか、自分には勿体ないくらいの人なのだから。
『いつも一生懸命なところや、優しい笑顔が好きなんだ。ただ隣にいてくれるだけで、明日も頑張ろうって思える。こんな気持ちになる相手は世界でただ一人……麻由しかいないよ』
真っ直ぐに向けられる眼差しに、麻由は泣きそうになってしまった。自分が必要とされていることが、嬉しくてたまらなかったのだ。
『智樹さん……ありがとう』
麻由は感謝の気持ちを伝えながら彼の胸に飛び込んだ。
自分みたいな女が智樹のように素敵な人に選ばれるなんて、奇跡としか言いようがない。
それに智樹の母、理沙子も麻由を気に入ってくれたようで、結婚を後押ししてくれたのだ。
『あなたが智樹と結婚してくれたら嬉しいわ』
理沙子は優しい笑みを浮かべながらそう言っていた。それが社交辞令ではなく、本心から出た言葉であることは、彼女の目を見ればすぐにわかった。
結婚式の打ち合わせなどで会うととても喜んでくれたし、式の当日もずっと笑顔で祝福してくれた。
そんな義母だからこそ、麻由は結婚後すぐに智樹の実家に移り住んだのだ。
(あの頃は本当に幸せだったなぁ)
麻由は溜息を吐く。
あの当時はまだ理沙子との仲もよく、幸せな家庭を築いていた。昔は内気だった麻由も笑顔を見せることが多くなり、食卓にはいつも明るい空気が満ちていた。
それなのにいつからか、その幸せな時間は消え去ってしまったのだ。
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