十六話 こけし【最終日】

1/1
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ

十六話 こけし【最終日】

 次の日も久美子と美智子はこけし祭りに出掛けた。今日は母圭子は屋台で売る当番ではないので 久美子と美智子の二人と一緒に屋台をまわった。  「久美子〜美智子ちゃんあそこのキノコ鍋美味しいのよ。新鮮なきのこを朝一番で駿河さんが取って鍋にしたのよ味噌味なの。奢るから三人で食べましょう」美智子は嬉しそうな顔をして「そうなんですねー。久美子食べようよ」そう言って久美子の母親の圭子が教えてくれたきのこ鍋の屋台のところに向かった。  プラスチックの容器に入ったきのこ鍋を受け取ると三人でイートインスペースの椅子に腰掛けてふーふーと息を吹きかけながら食べていた。  「美味しい。新鮮なきのこはやっぱり味が違いますね」美智子はそう言って美味しそうに食べた。  「今日は秋田野菜を使ったお弁当が販売されるからお昼にお弁当を買って食べましょう」久美子の母の圭子は久美子と美智子にそう言った。  今日もテレビで宣伝したせいかたくさんの人達がこけし祭りに来ていた。  そして昨日と同じ先着100名の小学校2年までの男女のお客様も沢山来場していた。  お祭りの最後は男性による神輿だった。  その神輿を見ながらの花火はとても綺麗で美しいものだった。  「久美子〜花火綺麗だね」 「本当ねーこんな大きな楽しいお祭りならもっと早くやればよかったのにね。どうして昔に開催されたお祭りが今までやらなかったんだろう?100年以上前に好評だったお祭りなのになんで急にやめたのかな?」 久美子も「私も地元だけどわからないわ。何でやめたのか?」 久美子と美智子の疑問が少しずつわかって来るのはお祭りが終わった三日後のニュースからだった。  三日後の朝、久美子はリビングでニュースをテレビで見ていた。  「こけし祭りに来てお菓子を貰った小学校2年生までの男女が行方不明になってます。  今、警察がこけし通りやススキの町を調べていますが行方不明の手掛かりは何も出てこないという事です。  何か情報があれば下の電話番号まで電話でお知らせください。お願いします」 「こけし祭りでこけしとお菓子を貰った子供が行方不明?これはどういう事なんだろう?」 久美子と美智子はそれぞれ自分の家のテレビのニュースを見て驚いていた。  久美子は「お母さんこけし祭りでお菓子を貰った子が行方不明だって何か知ってる?」そう母の圭子に聞いたが圭子は「知らない」と久美子に言った。だが母圭子の目はどこか悲しい目をして遠くを見ていた。 続く
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!