十七話 事故【バス】

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十七話 事故【バス】

 25人を乗せたバスは崖からどんどん落ちて行った。そして山の崖の下の平らな狭い道路にバスは落ちて止まっていた。さらにバスの中にいる25人は血を流して全員倒れていた。  数時間経つと鴨の下桜は朦朧とした意識の中でヘリコプターの音を聞いていた。  ドクターヘリ?きっと私達を助けに来てくれ たんだ。きっと。。。  薄れゆく意識の中で鴨の下桜はヘリコプターから降りてバスの中の自分達を覗いている救助隊らしい男の人2人の姿を見た。  やっぱり助けに来てくれたんだ。  これで私達は助かる鴨の下桜はそう思っていた。  ところが次の瞬間ヘリコプターから降りてバスの中を覗いた隊員はバスの中で倒れている25人に向かって言ったその言葉は鴨の下桜が想像しているものとは全く違う言葉だった。  バスの窓と扉は崖から落ちた衝撃で完全に壊れていた。  ヘリコプターから降りて来た2人の男の隊員らしき人はバスの中にいる25人を見てこう言った。  「何だ〜まだ生きてる奴もいるのかよ〜とにかく生きてる奴死んでる奴で分けるか」  「そうですね。死んでる奴はここに置いて放置して生きてる奴だけ例の場所に連れて行きますか」 「そうだね。そうしよう」  「ここで死んだ方が幸せだと思いますがね。生きてるなんて気の毒ですね。これから生き地獄が待ってるんだから」  「そうだね。君達がこれから行くところは病院じゃないんだよ。どんなに苦しくても治療される事はない。君達は死ぬまで苦しむしかないんだよ。君達は悪い人間だからね」  そう言うと2人のヘリコプターから降りて来た男性は死んでいるか生きているかを1人ずつじっくりと調べて仕分けをした。死んだ人物は2人の男性に放り投げられた。  「やっと仕分けができたな。じゃあヘリコプターで行くか」バスの中にいた25人のうち生きていたのは僅か6人だけだった。 ヘリコプターの中で男は言った「6人も生き残るとはね。生きてるのは2人くらいだと思いましたよ。 昨年は生き残ったのは2人だったのにね。可哀想に6人もこれから生き地獄を味わうなんて」 鴨の下桜は「生き地獄?昨年も誰か私達みたいな体験をした人がいるって事?」 生き残った6人は数台のヘリコプターに乗せられて何処かに運ばれた。  意識がかろうじてまだある鴨の下は自分達が運ばれて行くのは病院ではない事を知っていた。 続く
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