十七話 事故【復讐の舞台】

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十七話 事故【復讐の舞台】

 とうとう舞台の幕が上がった。 観客の大きな拍手が響き渡る。 劇団員がセリフを言う「そうです。この者達が極悪人です。旦那様この者達は悪魔です。せっかくですからこの者達に酷い目に遭わされた被害者家族に復讐してもらいましょう」 「それはいい、その者達をここに呼べ!」 「はい、旦那様今連れて来ます」 「ところでこの者達はどんな事をしたんだ〜」 「それはここに書いてあります」 「それは酷い極悪人だ!早く早く被害者家族を」 「よし、3人とも来たな!1人余るが松田かなえは私が始末しよう」 「旦那様お願いいたします」 「うむ、任せたまえ」 復讐劇団の芝居はどんどん進んで行った。  それじゃあ近藤義男が殺した南冴さんのご両親準備はいいですか〜」そう言うと南冴の両親は「はい、石を投げる機械を設置しました」 そう言うと観客席は盛り上がった。  「頑張れー」「やっちまえー」 「やれ〜」「人間じゃない悪魔なんか苦しめてやれ〜」 「うーうー」近藤義男は涙を流して南冴の両親の方をじっと見ていた。まるでそれは許してくれ〜と命声をしているようだった。  南冴の両親はセリフを言った。  「近藤義男お前はその自分の容姿を利用してたくさんの女性を泣かせた。うちの娘のお腹には君の子供がいたのに自分の子供と娘をお前は殺した。  あの世では女をもて遊ぶことができないように顔に石を投げてぐちゃぐちゃにして殺そうと思う。娘みたいに痛い思いをしなさい」南冴の両親はそう言うと石を投げる機械のスイッチを入れた 「うーうー」何個もの大きな石を顔に落とされた近藤義男の顔はたくさんの血が流れてぐちゃぐちゃになった。イケメンだった顔はイケメンとはほど遠いものになった。そして暫くすると近藤義男はうめき声もあげなくなり呆気なく死んだ。  観客からは「おー、いいぞーおー」と言う声が響いていた。次は松田かなえだった。  「松田かなえは私が始末しましょう」「旦那様いいんですか?」「いいんだよ電気ショックで死なせてしまいましょう。さあこの椅子にみんなで座らせてくれ」「うーんうーん」松田かなえはベットから起こされ強制的に劇団員によって電気椅子に座らせようとされていた。 松田かなえは「うーんうーん」と言って身体を捩った。 そんなかなえに団長は「さあ、座れ!」そう言い強制的に押し倒した。そして電気椅子に座らせた。 「うーんうーん」  団長は言った「じゃあ皆さんよく見ていてください。電気椅子で人が死ぬところなんてなかなか見られませんからね」観客席はまた「いいぞーやれー」そんなやじのような声があちらこちらに響いていた。  電気は容赦なく松田かなえの身体を蝕んだ。  松田かなえの身体はブルブルと電気椅子のせいで震え出した。  暫くすると松田かなえの口からは泡が吹き出ていた。  更に松田かなえの身体は硬直した状態になり目は上を向いて動かなくなった。  旦那様役の団長は言った「死んだようですね。これで葛城弥生さんと弥生さんのお腹にいた赤ちゃんそしてご両親皆さん救われます」そう言って笑った「あーはっはひっひっひ〜今宵は神に変わって復讐します。あーはっは〜ひーっひひ〜」 団長は舞台で自分の台詞を言った。  そして団長は更に続けた「次は宮下和樹お前は最も苦しんで死ななければならない何故なら何も悪い事をしていない犬飼亮君を嫉妬という醜い感情だけで殺したんだからな。さあ〜犬飼亮君のご両親ムチで死ぬまで痛め続けるのです。さあ〜どうぞこちらへ」  旦那様役の団長に言われて犬飼亮の両親が舞台の上でムチを出し動けない宮下和樹の身体を思いっきり叩いた。頑丈なムチは宮下和樹の身体を痛めつけた。ムチで叩かれる度に和樹は「うっうっ」 と言う小さな声が口を塞いでいるテープの脇から漏れた。  観客席の観覧者は目を輝かせて「早く死なないかなーもっと苦しめー」と言いながら笑っていた。  そしてムチで叩く音がよほど気に入ったのか客席からは「いいぞー。いいぞー」と言う声が大きく聞こえた。  次は私〜私は殺される鴨の下桜は震えが止まらなかった。  暫くすると宮下和樹の苦しむ「うっう〜」と言う声は聞こえなくなった。  そして旦那様役の団長が言った。 「いよいよラストです〜鴨の下桜お前をラストにしたのは北見姫花さんのご両親の希望でした。  他の人が死ぬところを見てだんだん自分に死が近づいてくるその恐怖を与えたいと言ったんでね。さあ皆さんこれでラストです。楽しんでください」 団長がそう言うと北見姫花の両親が弓と矢を持って鴨の下桜の前に立った。 私は殺される…… 鴨の下桜がそう思った瞬間 後ろのドアが開いた。  「はい、そこまで警察です」 鴨の下桜は安堵した「警察?私は助かるんだ。誰かが警察に知らせたんだ。よかった」 団長は言った「誰だ!警察に言ったのは!観客席の奴か?ならここで始末してやる!誰だ!名乗り出ろ!俺はここで捕まるわけにはいかねえんだ!」 そう言うと警察官は言った「誰が逮捕しに来たって言いました?私も仲間に入れて欲しいんですよ秘密は守ります。ついでに俺の息子を殺してくれませんか?自分で手にかけるのもちょっとね……警察官ですから」そう言った。 えっ? 私を助けに来てくれたんじゃないの? 鴨の下桜はまた恐怖で身体が震えた。 続く
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