24人が本棚に入れています
本棚に追加
十八話 アプリ【数日後】
吹雪高校ではすっかりメディアで流行っていると言われているアプリ【かけら】をやっている生徒がほとんどだった。
柚木と玲子もすっかり夢中になっていた。
二人は「今度の商品登録何にした?私は家族の為にお米券にしたよ」
「私は黒毛和牛にしたよ。親孝行じゃない?私達、最近食材高いって親が嘆いてるからさ〜食材だと親が喜ぶと思ってさ〜」
緑は二人に聞いた「えっ?黒毛和牛って?あの黒毛和牛だよね?めちゃくちゃ高いお肉じゃない。
そう言えばうちの親も最近食材が高いからあまり買えないわって言ってたな〜確かに親孝行になるよね〜私もやろうかな〜?高校まで通わせてもらってるしねー。でも成績が悪いからな〜成績上がったらやってみようかな〜?」
柚木と玲子は言った「そうだよ。やってみなよ親孝行になるし、野菜セットなんて今の時代野菜高いから家族はきっと喜ぶよ。無料のアプリなのに無料で貰えるんだよ」
緑は「確かにそうだよね。でもこのクラスでも
(かけら)をやってない子が数人いるね〜その子達はアプリに全く興味ないクラスで成績が一番の子と私みたいに成績が悪い子だよね?やっぱ成績が悪いからゲーム登録できないなー」
柚木と玲子は言った「一緒にゲームやりたいんだけどねー。休日も一緒にできないじゃん。やろうよ。よく考えてみて」
緑は「そうだね考えてみる」
その時、同じクラスの望月遥が柚木と玲子に声を掛けてきた「ねえねえ実はね。私ねこの学校で流行る前から(かけら)やってるの。彼氏がね高井戸男子高校に通ってて彼の学校で流行ってるって聞いて教えてもらってやってたんだー。実は私ね第二ラウンドクリアしたの。
それでね私も黒毛和牛登録してて昨日送られて来たの。これが写メで撮った写真」柚木と玲子と緑の3人は望月遥の携帯で撮った写真を見せてもらった。
3人は「すご〜い随分立派な箱に入ってるんだね500gくらいあるよね」
望月遥は言った「そうそう、500gだったわ。
今日の夕飯は焼肉だって。お母さんもお父さんも食材高いから助かるって喜んでたわ」
柚木と玲子は「すごいね立派なお肉〜私達も2ラウンドクリアしないとね第3ラウンドの商品って何があるの?」
望月遥は言った「家族分高級ホテル一泊2食付き無料券か高級レストランペア券か家に1日執事を派遣して家族に尽くしてくれる券だってそれは三つとも日にちは自分で設定できるんだよ。
ちなみに私は家族分高級ホテル一泊2食付きに登録したよ」
柚木と玲子と緑は「いいなー。高級ホテル家族分ってなかなかないよね〜しかも無料だし」
緑は本当に貰えるんだ。やってみようかな?いや私は教師になるのが幼い頃からの夢だった。
成績を上げるまでは皆んなと同じに遊んでる暇ないよね。と自分に言い聞かせていた。
そんな事を考えてると望月遥は柚木と玲子と緑に言った。「ねえ、ここ見てここ〜第3ラウンドからこんな事が上の方に小さく書いてあるんだけど?赤い文字で」
緑 柚木 玲子は遥が指を指したところを見た。
「このゲームは第3ラウンドからかなり難しくなります。一ヶ月でクリアするのはかなり難しいです。もしクリアできなければ今まで受け取った商品同等のペナルティが待っています。なので死ぬ気で頑張ってください」
柚木と玲子は「死ぬ気って?大袈裟ねーただのゲームじゃない」
「そうだよねー。今まで貰った商品と同等のペナルティって大袈裟ねー。たかが無料のスマホゲームでしょう?」
「頑張ってね。望月さん、私達はまだ2ラウンド始めたばかりだからまだまだだよ」
「2ラウンドって難しい?」
望月遥は「それがさ〜1ラウンドと同じくらい簡単だったよ。3から難しくなるんじゃない?もし飽きたら止めようと思ってるんだー。あんまり凝りすぎると成績に響いちゃうしね」
柚木は「そうだねー。これでも中学生が憧れる高校だもんね。私も夢叶えないとね」
望月遥は「そうだよ。今度一緒に(かけら)やろうよ」
「そうだねー。一緒にやろう」
柚木と玲子はこの事がきっかけで望月遥と仲良くなっていた。クラスのほとんどの生徒はアプリ(かけら)の2ラウンドの途中まで進めていっていた。
この仲がいい2年B組に異変が起きたのはアプリ(かけら)の3ラウンドをクリアできない生徒が出て来た時から始まった。
その時からこのゲームが吹雪高校を恐怖に導いていくとはこの時、誰も知らなかった。
本当の恐怖が少しずつ吹雪高校に近付いていた。
続く
最初のコメントを投稿しよう!