十八話 アプリ【第二ラウンド】

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十八話 アプリ【第二ラウンド】

 あと、少しで柚木と玲子は2ラウンドの期限が迫っていた。  柚木と玲子は望月遥の家に行ってからアプリ(かけら)をやる気にはならなかった。  「緑これ見て、私達がゲームをやらなくてもアプリ(かけら)の画面にすぐ切り替わるの。 そしてこの文字〜やっぱり変だよ。まるでこのゲーム生きてるみたい」 柚木が見せたアプリ(かけら)のゲーム画面には赤い字でこう書かれていた。「早くゲームを再開しなさい。再開しなければ柚木お前の命はゲーム参加者に狙われる。  まだ2ラウンドだから一ヶ月以内にクリア出来なくてもペナルティはそれ程酷くない。  だけど再開もせずクリア出来ない場合はお前は参加者全員から命を狙われる」 緑は柚木から見せてもらったゲームを見て言った。  「柚木、今はこのゲームを続けるしかないのかも知れない。出来るだけ早くこのゲームの事調べるから。玲子も今はやるしかないこのゲームは危ないから命を守る為に〜今は命が大事だから」 緑 柚木 玲子はその時、柚木に見せてもらったゲームの画面がゲームをしている訳ではないのに勝手に切り替わった場面を目の当たりにした。  「きゃー。キャラクターのゲームの中の私が勝手に走り出したゲームの中の校内をぐるぐると〜」 玲子も言った「私のゲームの中のキャラクターも校内を走り回ってる何周も何周も〜」 「そして、自分の名前をつけたゲームの中の主人公の私がわ、ら、ってる〜」 緑 玲子 柚木はゲームの中で勝手に走り回り不気味な笑みを浮かべてゲームの中からこちら側をじっと見つめているキャラクターにぞっとした。  「このゲームは生きている。私達がゲームをしなくても意思を持って勝手に動く〜望月さんが言った通り私達はゲームに支配されているのかも知れない」 玲子と柚木はそう言った。  緑は「とにかく後もう少しで期限の一ヶ月になる。  今はやるしかないよ。ごめんね力になれなくてでも絶対にゲームが何処で作られたのか今田さんと一緒に探すから。今家でネットで調べてるんだけどまだわからない事が多すぎるの。北海道学校のゲームの事がネットにも古い新聞にも載っていなくて他に手掛かりがないのか調べてみる」 柚木と玲子は「わかった今はやるしかないよね」 涙を溜めながらそう言った。  既に吹雪高校2年B組の生徒のほとんどは商品目当てにアプリ(かけら)を始めていた。  今田幸と菅原緑がアプリ(かけら)をやらないように呼びかけても今では成績が悪い生徒も興味がなかった成績上位の生徒も商品が本当に貰えるならとアプリ(かけら)をやり始めていた。  2ラウンドは簡単らしくこの日の休み時間に必死でゲームをした柚木と玲子はこの日の授業終了までに2ラウンドをクリアする事ができた。  緑は言った「2ラウンドまではゲームを普通にやる事ができたよね?3ラウンドから変わるって事なのかな〜?」 その時、クラスメイトが次々と2年B組のクラスで言った「やったー2ラウンドクリアー」「私もよー黒毛和牛貰い〜」「私もクリアー」「私も〜」 柚木と玲子は言った「皆んなクリアしたみたいだね2ラウンド〜って事は大勢のクラスメイトと3ラウンドでリアルで戦う事になるって事?私、勝つ自信なんてない」  緑は「リアルで戦うってどういう事なんだろう?2ラウンドの時ゲームの中にキャラクターがちゃんといたんだし、今もゲームに自分の名前をつけたキャラクターがいるんでしょう?なら大丈夫だよ。ゲームの中に入れる訳ないしね。リアルで戦うっていう意味がよくわからないわ」 緑は柚木と玲子を励ますつもりで言った言葉だった。ところが柚木と玲子は緑に言った。  「緑見て見て見て、私の携帯ゲーム」 緑は柚木と玲子の携帯ゲーム(アプリ)を見た。  3ラウンドに切り替わった画面には画面の中のリアルな街並みと学校と自宅付近のリアルな風景はそのままだったが、携帯を触ってゲーム画面でいくら探してもそこにいる筈の自分で名前をつけて主人公にしたキャラクターの姿が消えていた。 「なんで消えてるの?」 「もしかして本当に命懸けで戦わないといけないゲームなの?望月さんが追いかけられるって言ったのは多分別の高校のゲームの参加者だよ。あの時はうちの高校はまだ望月さんみたいにこのゲームそんなに誰もやっていなかったんだから。  今うちの学校でも流行ってきてるって事は私達は他の学校の生徒とも戦わなくちゃいけないって事だよ」 「これからどうなるんだろう」  「とにかく何処のテレビ局がこのゲームを先に人気ゲームだって言って放送したのか?なんでテレビで放送されたのか?誰かに頼まれたのか?それを調べたら何かわかるかも知れない。帰りにちょっと調べてみない?」 「私達怖いからゲーム早く家に帰って進めようと思う。一ヶ月でクリアしないと私達が殺されてしまうかもしれない。追いかけられるかも知れないから」 緑は「わかった。私が調べるよ」 緑が柚木と玲子にそう言った時2年B組のドアがガラガラと音を立てて開いた。  そして、息を切らしながら担任の東城舞が2年B組に入って来た。  クラスに入ると東城舞は言った「帰りの学活の時ですが、悲しいお知らせがあります。このクラスの望月遥さんが自殺しました」 「えっ?遥が自殺?」今田幸の目には大粒の涙が溢れていた。  2年B組のクラスは騒ついていた。 この日から2年B組は壊れていった……。 続く
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