十八話 アプリ【2年B組】

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十八話 アプリ【2年B組】

柚木と玲子がアプリ(かけら)をクリアしたその日担任の東城舞は望月遥が自殺したと帰りの学活の時間に2年B組のクラスの生徒に話した。  同じクラスの生徒は「何で亡くなったのか?どうして?自殺なんて」そう言って泣いていた。  そして今日、東城舞が自分のクラスの生徒に望月遥の事を話してから三日が経っていた。  クラスの生徒達は全員お通夜の会場に向かっている。会場に着くとクラスメイトは憔悴して泣いている望月遥の両親の姿にいたたまれない気持ちになっていた。  担任の東城舞もお線香をあげる手が震えていた。 そしてハンカチで目を押さえていた。東城舞のハンカチの隙間からは流れた涙が見えていた。  柚木も緑も玲子も幸も望月遥の両親にかける言葉すら見つからなかった。  お線香をあげて手を合わせて帰ろうとした時 柚木と緑と玲子と幸の4人は望月遥の母親の望月楓に声を掛けられた。  「あなたが柚木さん?あなたが緑さん?あなたが玲子さんかしら?幸ちゃんはよく家に来てたから知ってるわ。皆さん遥と仲良くしてくれて本当にありがとうね。きっと遥も喜んでるわ。実は遥が4人に手紙を残してたんです。これなんですけど〜。4人に自分がもし居なくなったらこれを渡して欲しいと生前言ってたので、私は何が書いてあるのかわかりませんが、最後に4人に話を聞いてもらいたかったんだと思います」  4人は「私達は何もできなかったんです。助けられなかったんです。ごめんなさい」 望月楓は言った「生前仲良くしてくれたそれだけで充分よ。最近、遥は部屋に閉じこもって食事もろくに摂ろうとしなかった。学校で何があったのか?知ってたら教えてくれないかしら?」 今田幸は言った「遥の携帯って解約してしまいましたか?」 望月楓は「してないけど?」 それを聞いた今田幸は言った「もしかしたら?何かわかるかもしれません。携帯を貸してもらう事ってできますか?」 望月楓は言った。「幸ちゃんなら信用できるからいいわ。携帯開くパスワードはあの子は設定していないから開けられると思うわ。あの子は生前幸ちゃんは私の親友だって言ってたのよ。何でも話せる親友だって」 その話を聞いた今田幸は「だったら何で?何で今回は相談してくれなかったの?」 そう言いながら今田幸は大粒の涙を流していた。  望月遥の母親楓は「幸ちゃんたぶんそれはあなたを巻き込みたくなかったんだよ。あなたに危害が加わる可能性があったんじゃないかしら?あなたを守りたかったのよ。きっと……」 そして更に望月楓は言った「私はたぶん自殺じゃないと思ってるの〜あの子最近は狂ったように部屋に籠って学校にも行かずに携帯をずっといじっていたの。だからその携帯に何かあるのかもしれないと思ってるの。でも私より先に手紙を残して信頼していた友達に見せた方がいいと思っていました」 今田幸は泣きながら「そうですか〜わかりました。携帯をお借りします」  そう言って遥が使っていた携帯を今田幸は望月遥の母親楓から受け取った。  「それじゃあ私達はこれで」そう言ってお通夜が行われている日暮里寺院の外に出て日暮里駅に4人は向かった。  日暮里駅に向かうと日暮里駅にはたくさんの吹雪高校の制服を着た生徒達がいた。  「皆んな遥のお葬式に来たんだね。皆んな俯いて悲しそうな顔をして何か話してるもんね。改札口に入らないのかな?誰かを待っているのかな?何を話しているんだろう?」 4人は日暮里駅の側に近づいて来ると不思議に思っていた。  改札口付近で俯いている吹雪高校の生徒達の顔には正気がなく青白い顔をしていた。  4人は日暮里駅の改札口の側に着くと吹雪高校の生徒に聞いた「あの〜改札口の中に入らないんですか?」 青い顔をして俯いていた吹雪高校の生徒はこう言った「次は私達の番、殺されるのはきっと今は家に帰ると奴らが待っているから帰れない。奴らがいなくなるまでは〜」 今田は聞いた「どう言う事ですか?」 吹雪高校の生徒は言った「アプリ2ラウンドまでクリアしましたか?」そう聞かれたので柚木と玲子の二人は駅改札付近にいる吹雪高校の生徒に言った。  「私と玲子の二人はクリアしましたけど?」すると同じ吹雪高校の生徒は玲子と柚木の二人に言った。  「なら知っていますよね?ゲームで死者が出た時は奴らが他のプレーヤーの自宅で待機しているって事をそして死者と同じ学校の生徒を奴らが殺しに来るって事を〜」 玲子と柚木は「えっ?同じ学校?死者が出たらゲームをしている同じ学校の生徒を殺しに来るって事?自宅に?誰が?」  吹雪高校の生徒達は言った「それはわからないでも私達が命を狙われてる事だけはわかるんです」  柚木と玲子は「ここにいれば殺されずに済むの?」と吹雪高校の生徒に聞いた。  生徒達は「死者が出てお葬式やお通夜をやっている時は自宅が一番危険らしいんだ。3ラウンドの注意事項に書いてあったと思いますが?」  柚木と玲子は怖くて3ラウンドの注意事項の項目まで読んでいなかった。  「そうなのね。ありがとう教えてくれて。誰が殺しに来るか本当にわからないの?」  柚木と玲子が吹雪高校の生徒達に聞くと一人の生徒が言った「私達はわからないわ。誰が殺しに来るのかわかるようになるにはゲームをクリアして先に進むしかないと思ってるの」 柚木と玲子は言った「教えてくれてありがとう。私達もお葬式が終わるまでは帰らない方がいいってことなのね?」 吹雪高校の生徒達は言った「2ラウンドの商品届きましたか?受け取りましたか?」 柚木と玲子は「まだ受け取ってないけど?」 吹雪高校の生徒は言った「それなら大丈夫ですよ。奴らが追いかけて来るのはに2ラウンドの商品が届いた後からですから。そして商品が届くと同時にゲームは物凄いスピードで展開していくから気をつけてください」  柚木と玲子はまだその意味がわからなかった。 物凄い早さでゲームが展開していくという意味をと同時に商品を受け取らなければ何とかなるのか?でも置き配にされていたら受け取らないわけには行かない。宅配業者もこのゲームに関わっているのだろうか?4人は同じ事を考えていた。  緑は言った「柚木 玲子もしかしたら今二人の家に商品が届いているんじゃないの?今日はお通夜自宅に奴らが来るって言ってた。だとしたら商品が届くのはお通夜の今日だと思う。二人とも両親の携帯に電話して商品を受け取ったか確かめて。もし、受け取っていたら二人ともうちに泊まって家に帰るのは危ないわ」 柚木と玲子は両親の携帯に電話を掛けた。 「トルゥ〜トルゥ〜」暫くすると二人は自分の両親に商品の事を電話で話した。  柚木と玲子の二人の両親は緑の思った通りだった。  「受け取ったわよ。美味しそうねー助かるわー 皆んなでいただきましょう」 「お母さんもう、受け取っちゃったんだね」 柚木と玲子の母親は言った。  「受け取ったわよ。でも仕事終わって帰るタイミングで玄関に置いてすぐ走り去って行ったわよ。帰る時間に合わせて配達してくれるなんてありがたいわね」 二人は両親に聞いた「その配達員の特長教えて。何処の配達業者?」 「それが何処の配達業者か記入していないの。でも、制服なんだけどチラッとしか見なかったんだけど吹雪高校のジャージに似ていたわ」 二人は「えっ?吹雪高校の?お母さん悪いけど事情があって私達望月さんのお通夜のお手伝いする事になったから家に帰れない。ごめんなさい」 二人は両親に心配かけたくなかったので嘘をついた。  柚木と玲子の母親は「そうねー。娘さんが亡くなってショックを受けているはずだものね。お手伝いすることがあるならしてあげてね」 そう言って外泊を許してくれた。  4人は直ぐに片っ端からテレビ局に電話を掛けようと思っていた。  何処が一番先にあのゲームをテレビで紹介したのか?そこから何かが分かると信じて……。  何処の誰かわからない人に追いかけられないように……。 続く
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