十四話 家族

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十四話 家族

私は恵まれている。この街はテレビ番組でよく取り上げられている高級住宅街だ。  大きな家に大きな庭大きな車庫には高級な車のポルシェ車好きの父は他にも車庫を借りていて何台も車を持っているらしい。  私は車には詳しくないのでよくわからないけど、車を大切にしてる父は車を自分の身体の一部だと考えているらしい。  私には弟がいる2歳年下の弟だ。こう言ってはなんだけどなかなかイケメンでいつも女の子にキャーキャー追いかけられている。  私は「おーい、顔だけだぞー。見る目がないぞー家ではだらしないぞー」と心の中でいつも言っている。  お母さんはお菓子作りが好きな専業主婦だ ここの高級住宅街の家はだいたいお手伝いさんを雇うのが当たり前なのにうちの母は「いつお父 さんの会社が潰れるかもしれないからね。お金は大切に使いなさい。私もお手伝いさんを雇わずこの広い家を一人でコツコツ掃除して広い庭を機械を使って草むしりしているんだからね。  植えてある木の手入れは人を雇わないとできないから仕方ないけどね」と私と弟に口癖のように言っていた。  近所には同じ歳の友人がいた。真田桜だこの真田家と私の家族安部家は昔から仲がいい。  お互いに月一のペースでホームパーティを開催するのだ。  両家だけじゃなくて互いの他の友人も招いて盛大に開催するのだ。  その時だけはケータリングを頼んでいる。 うちの母がお金を使うのはその時とエステと洋服などの身に付けるものだけだろう。  今月末は私の誕生日だ。きっと家でホームパーティをしてくれる筈だ。  でも、この街で幼い頃から気になっている事があった。  それは幼稚園も保育園も小学校も中学校も高校も大学さえも例え同じ歳でもP幼稚園 保育園 小学校 中学校 高校 大学というようにPグループとN幼稚園 保育園 小学校 高校 大学というように生まれた時からPグループに入るかNグループに入るかは街で決められていた。自分で決める事はできない。  この街の掟らしいがお父さんとお母さんに「どうして自分で選べないのか?」といくら聞いても「何も知らなくていいの!でも掟を破ったらここには住めなくなるの!だからこの話はもうおしまい」と毎回言われるのだ。  でも私はどうしても不思議だった。何故私はPグループなのに弟はNグループなのか?家族単位で決められた訳ではなさそうだ。  友人の桜は一人っ子でたまたま私と同じPグループだった。  私は今、高校2年生になったばかりだ。 きっと大学もPグループの大学に行く事になる筈だ。  何でどちらのグループに行くか?自分で決められないんだろう?桜とも話したが桜も不思議がっていた。桜が言うには桜はお母さんに「知らない方がいいから忘れなさい。ここで何不自由なく暮らしたいなら」と言われたらしい。  それに私は幼い頃からもう一つ気になっていた事があった必ず寝る前に透明の液体を飲まされた。  母は「この街に住む以上寝る前に飲まなければならない健康維持の為の薬だ」と言った。  私はそれを飲むと凄く眠くなってベットの上でぐっすり眠ってしまい気がついたらいつも朝になっていた。  私は桜に相談した。桜も私も「眠り薬じゃないのか?何の為に眠り薬を寝る前に飲せるのだろう?親は私達に何か隠しているんじゃないか?」高校2年に進級した私と桜は「この街には秘密がある。そして両親にも?」そんな考えが頭を過り私の誕生日のホームパーティの時にもう一度この街の事を聞いてみよう。両親じゃなくて他の人に聞いてみよう。きっと何かわかる筈」そう私と桜は思っていた。  桜は私に言った。「夜寝る前に飲まされる薬それを飲んだ振りしてお父さんとお母さんの夜の行動を探ってみない?」  私は「そうだね。そうしよう〜もし犯罪でも してたら大変だし」「そうねー。泥棒とか?」「それは無いと思うけどね。うちのお父さん社長だし、桜のお父さんも社長じゃんお金に困ってるって事無さそうだよね?」  「でも〜テレビでよくあるじゃん実は借金まみれだったって」  「あるかも〜とにかく薬を飲んだ振りしてお父 さんとお母さんの行動を今日の夜から探ってみるよ」 「私も探ってみるわ」 私と桜は携帯電話でお喋りをしていた。  「じゃあねー。ホームパーティの日にち決まったら電話するね。たぶん今回はうちでやると思うけど私の誕生日だから」  「そうだねー。親同士でまた日にち決めてくれるよ。じゃあ明日学校で」  「じゃあねーばいばい」安部静香は携帯電話を切って机の上に置いた。  安部静香と真田桜はこの時、何も知らなかったのだ。  何不自由なく生活出来ているこの幸せが秘密を知ってから崩れ落ちていく事に……。知らなくてもいい事がある事をまだ知らなかった……。 続く
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