十四話 家族【深夜】

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十四話 家族【深夜】

 安部静香は父と母と弟が自分のクラスメイトの保護者の人と自分を覗いて何処に出掛けるところを見てショックを受けていた。   何で?私だけ仲間外れにされなければいけないの?もしかしたら今までも私が寝ている間ずっと三人で深夜出掛けていたのかもしれない?家族は私に何か隠してる。絶対何か秘密にしている。  何か街の会議とかNグループとPグループのグループ分けに関係があるのかもしれない。  やっぱりこっそりとお母さんとお父さんと和樹の後を付いて行くしかない。 そう思うと静香はいてもたってもいられない気持ちになった。  静香は上着を羽織ると両親が玄関から外に行って鍵を掛けたのを2階の窓から確認すると急いで階段を駆け降りて一階の玄関で靴を履き外に出て玄関の鍵を掛けた。  皆んなで集まって何処に行くんだろう?クラスメイトの鴨居さんと小池さんのお母さんと妹さんかなたぶん。うちと同じだたぶん、妹さんはNグループなのかな?同じクラスの同級生は誰一人居ない。  何でPグループだけ連れて行って貰えないんだろう?もしかしたらPグループに関係がある会議とか? 静香はそんな事を考えながら自分の家族やクラスメイトの保護者の後を付いて行った。  暫く歩くと近所にあるタワーマンションの前で家族と保護者は立ち止まった。  そしてそのタワーマンションの前には真っ黒なスーツを着ている若くて見るからにイケメンの若い男の人が立っていた。  家族と保護者はその男の人二人に黒ぽく見えるカードを渡した。  男の人は家族と保護者に何か話しているように見えたが静香の位置からは何て言ってるのか分からなかった。  男二人は静香の位置からは黒ぽく見えたカードをタワーマンションの前にあるオートロックのような機械にカードを乗せた。  そして「ようこそ今宵も楽しんでください。きっと気に入るはずです。うちは皆んな一流品ですから一番高いもので一億になります」 唇の動きから静香はそう言ってるように思えた。 「お母さん達何か買うつもりなのか?和樹に買ってあげるつもりなのか?」 その時、静香の肩を誰かが叩いた。  静香が振り向くと「桜〜やっぱり同じ事考えてたんだね」 「そうなんだけど〜あのタワーマンションの中に入るのは無理だよ。どうする?静香?」  「そうね。タワーマンションはセキリティしっかりしてるから入る事なんてできないよ。お母さん達に直接聞いた方がいいのかな?でも変だよね何でPグループだけ入れないの?同じ家族なのに」 「きっと何かあるんだよ」  「ねえ、桜〜昼間タワーマンションのあの黒っぽいカード家で探して明日またここに来ようよ。そして私達Nグループの振りをして侵入しようよ。 あのカードがなければお母さん達だってあのタワーマンションの中に入る事なんてできないんだから」あの黒いスーツを着た人にNかPか何てわかる筈ないわ」 静香がそう言うと桜は不安な顔をしていた。 「大丈夫だって分かりっこないよ」 二人がそんな話をこそこそしている時、二人は後ろから何者かに棒のような物で頭を強く殴られた。「ガン!」と言う音が二人の頭の中に響き渡った。  その時、桜と静香は「だ、誰?いっ……」そう言うとドスンと言う音と共に二人の身体は道路脇に倒れた。 二人が倒れる前に聞いた言葉は「秘密がばれるところでしたよ。ばれると厄介ですからね」と言う言葉だった。  次の日二人は自分の家の自分の部屋のベットの上で目を覚ました。  パジャマもベットのシーツも枕も新品な物に変えられていた。  「ベットの上?あの時、誰かに頭を殴られたのに。シーツも枕も布団も新品で外を出歩いた形跡が残ってない。汚れも一つもない。そうだ靴なら?」  静香は玄関に急いだところが靴も昨日の靴ではなかった。  新品な靴に変えられていた。 「これは〜どう言う事だろう?私は確かに近所のタワーマンションに行った筈?それなのに何でここに戻っているんだろう?」静香は母の絹香に聞いた。  「お母さん私、何でここにいるの?お母さん私 昨日深夜お母さん達の後を付けて行ったの。タワーマンションの中に入って行ったよね?和樹もお父さんも私だけ仲間はずれにして私に何か隠してる事でもあるの?」  絹香と和男と和樹の三人は口を揃えて静香に言った。「夢でも見たんじゃないの?馬鹿な事言ってないでさあ早く朝ごはん食べちゃって片付かないから」  「姉貴タワーマンションって何?そんなとこ用もないのに行く筈ないじゃん」  「そうだぞ。父さんも仕事で疲れてるんだ。わざわざ深夜に出歩かないよ」 その言葉を聞いた静香は三人は明らかに嘘をついている。シーツも布団も枕も枕カバーも靴も昨日と同じだけど新品だ。まるで昨日の痕跡を全て消したように。  倒れたけど汚れている筈の髪の毛にも汚れらしい汚れがついていない。  私はここに運ばれお風呂に入れられて新品のパジャマに着替えさせられたんだ。  それに昨日と同じ靴だけど〜靴まで新品になってる。いったい誰がそんな事を?  私?と言うよりPグループに知られると相当不味い事を隠してる。  静香は家族に「皆んな何を隠してるの?正直に話して」そう言った。  それでも家族は「学校遅れるわよ。早く食べなさい試験も近いんだから早く食べて少しでも勉強してから学校行きなさい」  静香はいくら聞いても家族は何も話してくれない。やっぱり独自で調べるしかないと心に誓った。  静香は朝食を食べて支度すると少し早めに家を出た。  少しでも早く桜に相談したいと思ったのだ。 静香は近所の桜の家に向かった。  「桜〜学校行こう」 「静香〜今行くね」 桜も静香と同じような考えだったみたいで急いで自分の家の玄関のドアを開けた。 「行ってきまーす」 「行ってらっしゃーい」 「静香〜おはよう」 「おはよう桜〜昨日の事なんだけどさ〜」 静香は桜に「親に昨日の事話したらさ〜親は静香の夢だと言って取り合ってくれなかったんだ〜  それに、昨日家を抜け出した時の形跡が全て消されてベットの上で目が覚めたんだよ〜変だよね?」そう話した。  桜も「うちも全く同じ事を言われたわ。ベットの布団とか全て新品だよ。絶対何か隠してるよ。やっぱり調べた方が良さそうだね」 「桜もそう思う?やっぱり調べようよ。今日学校から帰ったらさ〜私、家のブラックに見えたあのカード探そうと思う」 「私も探してみようと思ってたところ」桜は静香にそう言った。  二人は通学途中そんな話をしながら自分達の教室のドアを開けた。  すると教室の中がいつもより騒がしい事に気づいた。「皆んな何かあったの?」 クラスメイトの島口と川田が言った。 「俺達驚いたんだけどさ〜急に鴨居と小池が引っ越しする事が決まって昨夜引っ越したんだって〜。急だから驚いたよ。他のクラスでも多数引っ越した人がいるらしいよ」 「えっ?急に?もう引っ越したって?挨拶も無しに?先生から何も聞いてないのに?」 「そうなんだよ。他のクラスの数名の生徒もそうらしいよ。挨拶も何も無くて先生から何も聞かされてないって。変だよねこんなにたくさん一度にしかも全員、急だし。最後の挨拶も何もないのに。ほらホワイトボードに書いてあるだけだよ」 桜と静香はクラスにあるホワイトボードを見た。 そこには「鴨居愛菜と小池沙織が家の都合により引っ越しました」と一言書いてあるだけだった。  静香は桜に言った「鴨居さんと小池さんって昨夜〜」 桜も言った「そうね。ご両親深夜タワーマンションに」 静香と桜はやっぱり何かある。とんでもない秘密がこの街には隠されている。。。  そう確信した。 続く
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