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十五話 子供【記憶】
「思い出してくれたのは嬉しいけど、思い出してしまうとあの子があなたの命を狙ってしまう。
あの日〜洋司の家に悪魔払いをしに本当は私〜向かっていたの。でも急病で入院したと病院の看護師さんに話してもらったの。
そこの看護師の古谷理子は私の友人だったから。その病院に自分の車で私は田所秋斗さんを乗せて田所さんのお母様も一緒に連れて行ったわ」
田所は言った「何で病院に?僕はどこか悪かったんですか?」
津田は言った「違うわ。あなたはあの女の子に追いかけられていて私が見た時には既にナイフで数箇所刺されていたわ。私はあの子って?何で?儀式だからここにはいない筈?私は不思議に思ったの。私は早くこの車に乗ってそう叫んだわ。ところが当時まだ5歳の田所さんは私の車の前でついに力尽きて倒れた。だから私はあなたをこの車に乗せて病院に急いだ」
永峰は言った「でも、何で?あの女の子が?その時は女の子は儀式の所にいる筈なんですよね?」
津田は言った「そうよ。あの子は田所親子を乗せると車の近くでパッと消えたの。動き方も変だったわ。あの子は儀式前田所さんを追いかけていた本当の身体がなくても」
田所と永峰は言った「それはどういう事なんですか?」
津田は言った「あの時、あの子は生き霊として本体から出て来てあなたを追いかけて来たと今でも私は思っています」
田所は「どうして?僕を?そこまで僕は恨まれていたんでしょうか?でも当時、僕も女の子も幼い子供だった筈」
津田は言った「当時あの子は誰でもよかったんです。洋司には信じてもらえなかったけど、あの女の子を本当に操って悪魔に生まれた時から取り憑かれていたのは、あの子じゃなくて10歳も離れてる姉の真澄さんの方なの。
あの子は周りに気づかれる事なく人を支配して人を操り簡単に殺す事ができる。
本当に悪魔払いをするべきなのは真澄さんの方だった。
私が悪魔祓いの儀式に行かれなかった為、洋司は私じゃない別の人に悪魔払いを頼んだ。
当時新築だったあのマンションでね。
洋司は失敗だと言うけど、あれは半分成功で半分失敗だったわ。本当の悪魔の真澄さんから悪魔を取り出した。でも結果的に真澄さんと奥様が亡くなってしまった。
それに本当は姉に支配されやらされていただけの妹のゆりは成仏できないままこの世にさまよっている。そしてその魂は未だに悪魔に支配されている。
生まれた時からずっと悪魔に取り憑かれた振りをさせられ、犯罪にまで手を染めるしかなかった子供のゆりちゃんは今も友達を欲しがっている。。。生前、ゆりちゃんは姉の真澄さんのせいで遊んでくれる友達もいなかった。
両親も怖がってゆりちゃんの側にはなるべく寄らないようにしていた。
ゆりちゃんは友達作るには人を傷つける事だという真澄さんの話を信じていたの。
そして人を傷つければ真澄さんが遊んでくれると自分を愛してくれると真澄さんに言われていたの。後は儀式の時に全て話すわ。
もうマンションに着いたから〜永峰さんの部屋に悪魔祓いの準備がしてあるから、直ぐに始めましょう。始める前に永峰さん田所さんに軽食を出してほしいの。何も持たずに来たから食べるものがないと思うから」
田所は「食べ物なんて気にしないでください」そう言ったが永峰は言った「悪魔払いの儀式前に何か食べないと悪魔と戦えませんから。と言ってもカップ麺しかありせんから」そう言った。
田所は永峰に済まなさそうな顔をして「申し訳ありません。迷惑かけてしまって」そう言った。
永峰も「とんでもないです。迷惑かけたのは私の方です」そう言った。
「それじゃあ降りて行きましょう」津田が永峰と田所に声を掛けると三人は津田の車から降りてマンションのエレベーターに向かった。
そして三人はマンションのエレベーターに乗り込んだ。その時、生温い春のような風がエレベーターの中だと言うのに吹いてきたような気がした。
「何なんだ?この空気?生温かい」
津田は言った「もしかしてもう既にこのエレベーターの中にゆりちゃんが乗っているのかもしれない。早く成仏させないと」津田が永峰と田所にそう話した瞬間エレベーターは誰かがジャンプしているような飛び跳ねる音がしてエレベーターは急に揺れた。
「この揺れはいったい?この人がジャンプしてるような音は?」三人がそう思っているとジャンプする音はどんどんエレベーター内に響き渡った。
「急がないとサバラーサバラー悪霊退散」何度も津田はそう言うと塩を撒いた。
そして津田はポケットに持っていた聖水をエレベーターの中で撒いた。
それでも誰かがジャンプする音は止まらなかった。そして遂にエレベーターは停止してしまった
「どうしょう。このままだと私達悪魔払いができない。非常ボタンも効かない。エレベーターのボタンも反応しない。私達、閉じ込められた。きっと悪魔払いできないように邪魔されたんだわ。
そうだ田所さん。あなたがこの聖水とこの塩を撒いてサバランサバラン悪霊退散と言ってください」
田所は「僕は霊能者じゃありません。だからできません」
そう言ったが何度も津田は田所に頼んだ。
数時間が経って流石に暑いと感じた田所は「わかりました。僕が聖水と塩を撒きます」津田にそう言うと聖水と塩を撒いて「サバランサバラン悪霊退散」そう叫んだ。
すると、今まで動かなかったエレベーターはいつものように六階を照らし動き出した。
永峰は言った「どうして田所さんにあんな能力があると知っていたんですか?」
津田は言った「一度亡くなった田所さんを生き返らせるには私の能力を半分渡すしかなかった。
それにその能力は若い方がより強力になるってわかっていたからね。さあ行きましょう六階に着いたわ」
三人は六階に着くと永峰の部屋の前に来た。
「今開けるから」永峰康太はドアを開けた。
「さあ中へこちらが悪魔儀式の準備をした〜えっ?儀式の準備が〜」
三人が見たもの。。。それは準備した筈のものが全て荒らされていた。
カーテンに貼った黒い布は全て取れていて
人形が全て別の部屋に散乱していた。
そして床に敷いた黒いビニールシートはまるで風で飛ばされたように隣の部屋にあった。
津田は言った「悪魔が邪魔してるもう時間がない。三人で準備し直しましょう。悪魔は私達の命を狙ってる」
永峰と田所はぞっとして震えていた。
続く
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