十五話 子供【真実】

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十五話 子供【真実】

 永峰 津田 田所の三人は永峰の部屋に入った。津田と永峰は悪魔祓いの準備をしてから出かけた筈だったが永峰の部屋に戻ると部屋が荒らされている事に愕然とした。  「じゃあ三人で準備し直しましょう。田所さん、黒いシートをここに敷いてください。  後はカーテンにこの黒い布をこの両面テープで貼ってくださるかしら?永峰さんと私は人形を並べましょう。そしてカーテンに飾りをつけないと」  津田がそう言うと準備を始めからやり直した。 30分くらい経つと悪魔祓いの準備は完了した。 そして三人は飲み物と軽食を食べた。 その後、田所にも永峰と同じように聖水をかけてブレスレットを手首にはめた。  津田は「じゃあ永峰さん、田所さん準備はいいわね。シートの中に正座して手を繋いで輪になるのです。いいですか?絶対に立ってはいけません。私が話している時や儀式が始まってから終わるまでに周りでは悪霊が大声で話すでしょう。  でもそれに反応してはいけません。無視するのです。反応すると命が取られてしまいます。だから正座して手を繋いで目を瞑るのです。悪魔を見てしまいますから。絶対に一言も話さないでください。質問は儀式の後でお話しいたします」 津田がそう言うと「わかりました」そう言ってシートの中に入り三人は正座して手を繋いだ。  津田は言った「では始めます。まず初めに 今井洋司の家の事を話します。私は洋司とは英語教室で知り合って親しくなりました。  私は、よく洋司の家に食事に招かれました。 洋司夫婦はなかなか子宝に恵まれずそれぞれの趣味を楽しんでいました。  幸い洋司の仕事は上手くいっていたので夫婦は海外旅行を楽しんでいました。  それでも子供が欲しいと思った今井家は不妊治療を始めたんです。不妊治療を初めてから二年後洋司の奥様の佳菜子さんは妊娠しました。  洋司はそれはそれは喜んで子供の為にと今はボロの空き家でしたが40年前は新築だったあの家を奥様にプレゼントしたんです。  そして長女の真澄ちゃんが生まれたと聞き私はお祝いに駆けつけました。その時、私は真澄ちゃんに違和感を持ちました。  真澄ちゃんの目の横が青かったんです。そしてたまに真澄ちゃんの目は赤くなりました。  私は洋司にその事を言いましたが、今井夫婦が真澄ちゃんを見ている時は何もなかったんです。それに不思議な事はまだありました。真澄ちゃんが幼稚園の時私は見たんです。  真澄ちゃんがキッチンからナイフを取り出して猫を刺したところをそれからと言うもの近所のペットが次々死んでいるのがみつかりました。私は洋司に言ったんです。近所のペットを殺しているのは真澄ちゃんだと。そう言っても洋司も佳菜子さんも信じてくれなかった。それにある時、私は見てたんです。  真澄ちゃんが自分より大きな犬を殺してるところを真澄ちゃんは当時まだ幼稚園児だったそれなのに毒入りの食べ物を何処かで手に入れて犬を殺したんです。  そしてそれを震えながら見ていたのは真澄ち ゃんのお母さんです。  真澄ちゃんのお母さんは育児をしていたから真澄ちゃんがおかしいという事ははじめから気づいていたんです。  でも洋司は当時仕事が忙しくて子供の面倒を見る事ができなかった。だから子供の事は何も知らなかったんです。  佳菜子さんは娘が悪い事をしていても叱らなかった。真澄がそんな事をするわけない。真澄が悪い事をする筈ないと言って真澄ちゃんを甘やかして育てていました。  その事も洋司に私は言いましたが信じてくれませんでした。小学生になると真澄ちゃんは成績が優秀でとっても容姿がよく明るく挨拶ができる優等生でした。  裏で酷い事をしている人間だとは誰も知りま せん。先生にもクラスメイトにも好かれていましたから。そして真澄ちゃんが10歳の時、妹のゆりちゃんが生まれたのです。  ゆりちゃんは真澄ちゃんとは違い容姿は生まれた時からいいとは言えませんでした。  ゆりちゃんを周りの人は生まれた時から「可愛くない」そう近所の人は思っていたようです。  その時から真澄ちゃんは本性を見せ始めました。  ゆりちゃんが赤ちゃんの時、両親が目を離した隙に真澄ちゃんはゆりちゃんをたぶん叩いていたんだと思います。  私が見た時にはいつもゆりちゃんのほっぺは誰かに叩かれたような後がついていた。時には傷がついていたことも。  それでも洋司と佳菜子さんは真澄ちゃんのせいだと認めようとしなかった。それからしばらくしてゆりちゃんが3歳になると血がついたナイフをゆりちゃんに持たせて真澄ちゃんは自分を傷つけさせそれをゆりちゃんのせいにした。  私は真澄ちゃんの行動が気になって時間がある時は真澄ちゃんを見張ってた。  それから傷害事件が真澄ちゃんの周りで起きた。私は洋司に何度も真澄ちゃんの悪魔祓いを勧めた。  でも今井夫婦は長女を激愛するあまり傷害事件はゆりが起こしたものゆりが生まれた時から悪魔だと思い込んでいる様子だった。  佳菜子さんも知ってる筈なのにゆりのせいだと言って聞き入れてくれなかった。  そこで私はそれなら悪魔祓いをしましょう。家族全員悪魔祓いをすれば安心だから、そう言って家族四人を寝かせて悪魔払いをするつもりでした。  悪魔払いをする為に同じ部屋に四人寝かせるにはあの一軒家では狭すぎた。だから私は洋司が当時建てたばかりの新築のマンションのホールに四人を寝かせて悪魔祓いをする予定だった。  ところが私はあの日マンションに向かっている途中田所さんを車に乗せて病院に行った病院に着いた時、田所さんの息は既になかった。  私が霊能力者だと私の名刺で知ると田所さんのお母さんに秋斗を生き返らせてと泣いて頼まれたの。まだ5歳でまだ若いそう思うと私は断る事ができなかった。 だから私は、洋司に電話を掛けてマンションには行かなかった。  そして田所さんを生き返らせた。田所さんが私を思い出さないように全てを忘れて地方に住むように思い出すときっとあの子に狙われるのはわかっていたから。  悪魔は狙った人間を殺すまで追いかけて来るって事を知ってたから。  ところがなかなか田所さんは目覚めなかった。  私は田所さんの手を握って呪文を唱えたそして私はなかなか目が覚めない田所さんに私の力を与えたの。  あなたが思い出してしまった以上あなたはまた狙われる。  永峰さんもあの子に目をつけられてしまった。  またあの子はあなたを死ぬまで追いかけて来る。真澄ちゃんから悪魔は抜けて真澄ちゃんを殺して佳菜子さんを殺して洋司を殺した。そして永峰さん友達マンションの周辺の人達も殺した。  悪魔は悪魔祓いをしても消す事はできない。 悪魔が一度狙った人間はその人間が死ぬまでどこまでも悪魔は執念深く追いかけて来るからね。  でも悪魔に追いかけられないようにする方法があるの。それは田所さんも永峰さんもゆりちゃんの事、そして私の事を全て忘れるのそうすれば二人は悪魔に追いかけられる事はなくなる。  死んでも取り憑かれているゆりちゃんは悪魔が離れるまでずっとさまよい続けると思うけど、どうする事もできない。  だから私との記憶もゆりちゃんの記憶もこれから私は無くします。目を開けた時、永峰さんはゆりちゃんに追いかけられた島村さん秋山さん堀部さん今井さんの事を忘れるでしょう。  ゆりちゃんに関わった人の記憶を消さないとまたゆりちゃんに追いかけられてしまいます。  永峰さんの会社の人も秋山さん島村さん堀部さんの記憶は無くなっている事でしょう。  田辺さんのまわりの刑事さん達もゆりちゃんの事を忘れている事でしょう。  田辺さん田辺さんのご両親が何故この東京に来たのか?それは田所さんの記憶が戻る事を心配して私と出会った場所に来たんだと思います。  そして噂があったマンションを購入して住んでみた。  田所さんにご両親が電話してきたのはマンションに女の子が〜と言ったそうですがきっと女の子に気をつけてと言いたかったか?  田所さんがオカルト嫌いなのを知っていてわざとそういう事を言って近寄らせない為だったのか?  どちらにせよ自分達が犠牲になれば秋斗君を守れると思ったんでしょう。  じゃあこれから記憶を消します。その間に悪魔が邪魔をしますから、恐ろしい声がしても物が揺れても無視して目をつぶって黙っていてください津田はそう言うと「サバランサバラン。。。」と数時間呪文を唱えて聖水を撒いた。  その間、永峰の部屋はガタガタ揺れて物がどんどん落ちたそしてビニールシートの周りから悪魔の唸り声が響いた。「ウーウー殺してやるーウオーウオー」悪魔の唸り声はますます大きくなった。  津田はそれでも呪文を続けた。その間、永峰も田所も黙って目を閉じていた。  心の中では記憶が友人の記憶が全て忘れてしまう。そう思いながら〜しばらくすると永峰と田所はビニールシートの上に倒れた。二人が倒れると津田は悪魔払いの準備した物を全て回収してから救急車の手配をしてその場を立ち去った。 続く
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