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十六話 こけし【宣伝】
「サンデー特集の時間です。この秋田県で今度こけし祭りがやるそうですね〜何でも町おこしの為とか?それにこの通りはこけし通りって言うんですね。何故こけし通りって言うのか秋田県こけし通りススキの町の町長さんの小池太郎さんに聞いてみましょう。小池さん何故こけし通りって言うんですか?」
「はい、それは100年以上前からこの通りはこけし職人のお店がずらっと並んでいまして店先で手作りこけしを売ってたんです。
当時女の子が産まれるとこけしをプレゼントすると女の子は丈夫に育つと言われてたそうです。
100年以上前までこけし祭りをここでやってたらしいんですが、突然やらなくなったみたいなので今回、町を活性化する為に開催しようと考えたんです。
うちにご先祖様の日記のようなものにお祭りの事が書いてあったノートを私のうちでたまたま見つけてしまって。これはご先祖様がお祭りをやってくれと言っているんだと思ったんです。
地元の名物料理とかを沢山売りますんで是非来てください」
「そうなんですねー。そのノート見せてもらう事は可能ですか?」
「済みませんこのノートは町長とお祭りの開催を手伝った地元の人しか見せてはいけないと書いてありますので申し訳ありませんがお見せできません」
「そうですか〜来場者で男女問わず小学校2年生までのお子様にはこのお菓子とこの可愛らしい小さな手作りこけしが貰えるんですね。それにしてもお菓子の量多くないですか?大丈夫ですか?
こんなに配ってそれに手作りのこけし随分太っ腹ですねー」
「はい、町を活性化する為ですから。大きなお祭りにするつもりで3ヶ月前の今から準備しています。どうかご家族みんなでいらしてください。名産品を安く売りますし、その場で食べられるように椅子とテーブルもたくさん設置しています。
土日二日間の開催です。美味しい食べ物を作ってお待ちしています」
「こちらにチラシが置いてありますねー。チラシも手作りですか?」
「はい息子にパソコン教えてもらいながら作りました」
「可愛いチラシですねーマスコットキャラクターもあるんですね。こけ子ちゃん可愛いイラストですね。皆さま手作りのお祭り是非来てください。サンデー特集からお祭りを紹介いたしましたー。そちらに返します」
「楽しそうなお祭りですね。行きたくなりましたよ」
「私もです。こけ子ちゃん可愛いですねー。ちょっと欲しいかも〜」
「是非行ってください」
テレビでは人気番組サンデー特集でこけし祭りの事を宣伝していた。
町の町長もインタビューに答えていた。
「お母さん最近こけし祭りの宣伝多いねー」
「町を活性化する為だもの。このままだと本当に町が死んでしまうわ」
「うちのおばあちゃんも話し合いに行ったの?」
「勿論行ったわよ。お母さんもおばあちゃんと一緒にね。町の活性化の為だからね。久美子もお友達誘ってお祭りに行ってね」
「わかった。友達に声掛けてみる」
井上久美子と久美子の母親圭子は日曜日、テレビのサンデー特集と言う番組を朝食を食べながら見ていた。
久美子の母圭子と一緒に住んでいる父親のお母さんつまり祖母はこけし祭りの開催についての会議に出席していた。
毎日仕事が忙しい父剛はたぶんお祭りの事すらしらないだろう?久美子と圭子は密かにそう思っていた。
その時、久美子の携帯が鳴った。
「あ〜美智子そうなのよ。こけし祭りの事がテレビに放送されたのよ〜。そうそう、うちの近く100年以上前のお祭りなんで今更?とか思ったけどね。うちの方は高齢者ばかりだから〜田舎こそ活性化させないとね。え〜本当来てくれるの?田舎のお祭りだよ〜」
「一緒に行こうよ」
「美智子が行くなら行く〜」
「明日学校でね。チラシ持って行くよ」
「わかったー楽しみにしてるね」
久美子は携帯電話を切った。
100年以上前に開催されてたお祭り。町を活性化する為に盛大にお祭りをやる。
この時井上家も他の家族も町長以外100年以上前のお祭りがどんなものなのか詳しい事は何一つ知らされてなかった。
町長の町を活性化する為に大きなお祭りにする。
その言葉の意味を誰も知らなかった。
お祭りの準備が本格的になるまで誰も知らなかった。
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