十六話 こけし【一週間後】

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十六話 こけし【一週間後】

 東京中央病院では健康診断の結果が出ていた。 長い間行方不明だった子供達は成人のしっかりした大人になっていた。筋トレでもやっていたのだろうか?大人になった当時の子供達は皆んなしっかりと筋肉が付いていた。  それは女性でも同じだった。健康面では特に問題がない東京中央病院医師は警察にそう言った。 そして、同時にDNAの鑑定も行った間違いなく子供達は自分の家に自分で帰って来た事が証明された。  藤宮と宮部は「5歳6歳の子供が遠くに連れ去られて一人で帰る事なんてできるのだろうか?迷わずに帰る事ができるのか?それに家に帰るまでの電車賃や外国だとしたら飛行機代そもそも飛行機の手続きはどうしたのだろうか?パスポートは?いろいろと謎だらけだ。誰か一人でも話してくれないだろうか?」 「この事件私はお手上げだよ藤宮さん、もう一度こけしを私達で調べないか?もしかしたらあのこけしは小さな子供の手にだけ反応が出るのかもしれない。行方不明になった家のこけしを借りて来よう。そして5、6歳の子供に握らせてみよう。  そしたら何かわかるかもしれない。それにもう一つ気になった事があるんだ。私達はもしかしたら外国に子供達が連れ去られたって思い込まされてるんじゃないか?本当は外国のように見せかけて子供達にもそう信じ込ませた。例えばドラマのロケのようにそして外人を雇っていたとしたら?」 「宮部さんそれって?」  「そうだよ。子供達は外国じゃない日本で監禁されていたんだ。外国にいるように思い込ませて外人をたくさん雇ってね」 「いったいどこなんでしょう?」 「子供達が外国にいると思い込ませる事ができる外国に似たところなんだろうね。まずはこけしを借りてそのこけしを5、6歳の子供達に触らせてみよう。何かがわかるかもしれない。  二人は当時行方不明になった子供達の両親の家に急いだ。 続く
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