十六話 こけし【20年前】

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十六話 こけし【20年前】

 宮部と藤宮の二人はこけし祭りの準備をしていた住民の家を部下に監視するように命じた。  宮部と藤宮の二人は井上家の向かいのアパートの一室を借りて井上家を監視していた。  「そろそろ井上圭子さんが動き出すと思うんだ」 「宮部さんどうして井上圭子さんが一番初めに動き出すと思ったんですか?」  「井上圭子さんだけだったんだよ。私は何も知らないと言って何処か寂しそうな目で遠くを見ていたのは〜きっと井上さんは何か知ってる。そして良心の呵責に苦しんでいる筈だよ。それに子供達が20年後無事に帰って来てほっとしている筈だ。だから、きっと監禁場所にもう一度行く筈。  良心の呵責に苦しんでいる人はそう言うもんなんだよ。私の長年の刑事の勘だがね」 ところが三週間経っても井上圭子は買い物以外出歩く様子はなかった。  「駄目ですね〜。井上圭子さんは関係なかったんですかね〜」  「藤宮さん、あれを見てください」  「あれは〜私達はもしかしたらとんでもない勘違いをしていたのかも知れない。私達は井上家に 住んでいるお婆さんのくにさんは80歳だから もうそんなにてきぱきと歩けない。だから祭りの話し合いに圭子さんはお婆さんと二人で行った。  お婆さん一人じゃ危ないから、そしてお祭りの手伝いも井上家の旦那さんは仕事でできないだから代わりに井上圭子さんが全てやっているんだと思っていたよ。  それが、勝手な思い込みだったようだね。 今、家から一人で出て来た井上くにさんの後を追う事にしよう。急ごう」 「はい、わかりました。宮部さん」  宮部と藤宮は井上家から出て来た井上くに80歳の後を追った。  二人が見た井上くに80歳の姿はとても老人には見えないくらい歩くスピードが早かった。  そして井上くにはススキの町からしばらく歩くと倉庫があるススキの倉庫場と看板が出ている倉庫に向かった。  そして井上くにが持っていた鍵で倉庫のシャッターを開けた。  そこにはたくさんのお祭りに使ったらしい御神輿が保管してあった。  「あのお神輿は確かこけし祭りに使った御神輿。それに倉庫の先の方を見てみろよ。あそこにヘリコプターが止まってる。きっと東京からヘリコプターでここに連れて来られたんだよ。子供達には〜お祭りの御神輿も見せてあげると言ってね。  私達はススキの町が高齢者ばかり増えたから廃れてきたのだと思っていた。  テレビでも小池さんがそう言っていたからね。 でも、それだけじゃなかったんだ。あんなにヘリコプターを揃えればお金がかかる。  それにこけし祭りで活性化させる為とは言えマスコミやメディアにお金を掛けすぎている事が気になっていたんだ。  それに井上くにさん何であんなに神輿の掃除を一人でしているんだろう?もう少し探ったほうがいいみたいだな」  そこへサンデー特集の人気アナウンサー櫻井鈴鹿が来て井上くにに言った。  「ありがとうございます。これでサンデー特集が打ち切りにならなくて済みます。サンデー特集の中のニュースも視聴率良かったですし、これでススキの町もサンデー特集も注目が集まります。 町会費はいつものように町会の通帳に振り込んでおきましたから」  「おい、聞いたか?藤宮さん、もしかしたら?これって町とメディアがグルだったって事なのか? 関係がない子供達を使って?井上くにをもう少し見張っていた方がいいようだな?もしかしたら?井上くにや高齢者は初めからこの計画を知っていたのかも知れない。100年以上前のお祭り先祖から高齢者が聞いていても不思議じゃない。  お祭りを手伝っていたまだ若い夫婦はもしかしたらこのお祭りの事を知ったのはお祭りの開催近くの日なのかも知れない。  井上さんはお婆さんと一緒に住んでるから近所の人よりたぶん早く知らされたんだよ。近所の人の知らないは本当に知らなかったのかも知れない」 「いったい何故?こんな事を」 「テレビの視聴率を上げる為ススキの町を本当の意味で長く活性化させる為、たぶんあの時の子供達はこれからここで皆んな働くと思う。サンデー特集はそれをドキュメントで流す。ススキの町は活性化する一石二鳥じゃないかな?」 「そうですね。とにかく今、井上さんが神輿の掃除が終わりシャッターを降ろす前に取り押さえましょう。そして神輿を調べましょう」  「そうしよう。そして井上くにさんに全てを聞いてみよう。あの神輿の中にきっと何かある筈」 二人は井上くにが神輿の掃除をしながらアナウンサーと話し終わるのを待っていた。  井上くにに全てを聞き出す為に 続く
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