第1話:長屋頼唯

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茶髪に着崩した制服。平均より数cm高い身長。 同じ夏を過ごしているとは思えない白肌。 彼は俺の横を黙って通り過ぎ、3階の化学実験室前で止まった。 今は授業中だ。彼は鞄を持っていなかったから、遅刻じゃない。 一体そこで何をするつもりだ?…っていうか、誰だ? 無性に気になって、後をつけるように彼を追った。 息をひそめて、じっと様子を伺っていると、 彼は何の躊躇いもなく火災報知器のボタンを押した。 「はっ!?」 火災報知器の音と同時に、俺は驚きのあまり声を上げた。 その声にビクッと肩を揺らした彼と目が合う。 彼もまた、俺を見て目を丸くした。 いや、なんでお前がびっくりしてんだよ? 「毎度毎度なんやねん、ほんま…」 階段を下りてくる先生の呆れた声が聞こえる。 まずい。ここにいたら、 アイツと一緒に悪戯で火災報知器を鳴らしたと疑われる。冤罪はごめんだ。 早く逃げようと思ったら、目の前にいた彼の姿が無くなっていた。 逃げたのだ。 「ん?小野田やないか」 逃げ足の速さに呆気にとられていると、先生に見つかってしまった。 そのまま俺は、有無を言わさず生徒指導室に連行された。  
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