始まり

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始まり

転校してから、もう1年が経とうとしていた。 チョークの心地良い音が響く教室の隅っこで、1人時の速さを感じていた。 前にいた学校は、田んぼが見えるようなド田舎だった。 だから、ここに転校が決まった時は、期待に胸が膨らんだ。 でも授業のつまらなさは、どこへ行っても変わらないみたいだ。 「小野田ぁ、デカい欠伸すんなや」 現代文教師がからかうように言う。 それに便乗するように、クラスの奴が何人か笑った。 「すみません」 目尻に残る水滴を拭いながら、テキトーな謝罪をする。 ―――退屈だな。早く帰りたい。 そう思った瞬間、けたたましく火災報知器が鳴った。 「またか…ちょっと見てくるから、自習しとって」 呆れながら先生が教室を出た。 この学校は、火災報知器がよく鳴る。
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