さよなら尾崎くん

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『いるはずの無い人間が見える』 こんな得意能力が備わったのは、僕がまだ小学校のころで、もう五年が経つ。きっかけは通学路沿いにあった巨大墓地が移転してからだ。市の区画整理が公になった当時、市民の大多数が反対したにも関わらず、環境美化の命題のもと、市長が強引に推し進めた。結果、薄気味悪い墓地が、多彩な遊具が揃う洒落た公園に生まれ変わるのだが、問題が発生する。敷地内に幽霊が出ると噂になったのだ。 公衆トイレの鏡から恨めしそうに老婆が睨む。誰も乗っていないブランコが宙を舞う。池の表面に無数の顔が浮かび上がり、念仏のような呻き声を上げる。等々、目撃情報によると霊体は多種多様で、数も大勢いるようだ。当時の僕は、オカルトの類は信じなかったので、誰かが悪ふざけで吹聴したのだろうと思って聞き流していた。しかしその後、僕も体験者となってしまう。
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