おまもり

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おまもり

胸ポケットに潜ませたお守りは、いつも私の心を奮い立たせてくれる。 大好きな人がくれた、大切なお守り。 もしかしたら、同じものを持っているのかな、なんて。 ちゃんと聞いたことはないからわからないけれど。 今でもはっきり覚えている。 たまたま見かけた後ろ姿を追ったら、神社に辿り着いた。 出逢った記念になるようなものが欲しくて、縁結びのお守りを選んだ。 ぶつかった拍子に落としたお守りを、拾って渡してくれた。 その時の優しいまなざしと声を、忘れられない。 「気を付けて」 たった一言だったけれど、それだけでいい。 (ずっと、想っている) 心臓の近くに触れるようにすればいいと気づいて、持っていたすべてのシャツに、胸ポケットを付けた。 毎日持っていれば、きっといつか届くはず。 (待っていて、きっといつか、) どこか遠くで、待っているよ、という声が聞こえたような気がした。
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