019/選択はいつもスペシャル

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019/選択はいつもスペシャル

早朝、キッチンの床が何かの粉だらけになってた。床の上を鬼丸が一生懸命掃除している。掃除機を持ち出そうとした俺をやんわり止めて、粉物吸うと掃除機が終了しちゃうんだ、と。それは大変だじゃあ拭き掃除だな、二人で黙々と拭き掃除。高校の時清掃のバイトしてて掃除機3台は潰したんだ、小麦粉やなんかをそんなに吸わないとな仕事か大変だったな、そんでうちの寺のも壊したからしばらく掃除させてもらえなかった、鬼丸と二人で大笑いしながら拭き掃除完了。まだまだ知らないエピソードの予感、夕診後にまた話振ってみよう。 夕飯は野外駐車場という名の屋外で焼き鳥と焼きおにぎり(焼き被った)。掃除機クラッシャーの逸話を聞きながら俺は思ったんだが、鬼丸は難題を乗り越える力が常軌を逸していると思う。だから瀕死の患畜を救えたりする。掃除機で小麦粉を吸ったらショートして壊れる、それを知っていながらやらかす。それにも何らかの意味があったんだ。鬼丸は苦笑しながら言う、そうでもしないと綺麗にできなかった、って言い訳かもしれないけど。結果的に壊れてしまった掃除機も、寿命だったかもしれないじゃないか。限られた時間の中での選択、間違いなんてないと思うんだ。 うちの掃除機が無事なのはまだその時じゃないて事だ。とりあえず出費がかさみそうだから気をつけるよ、鬼丸の神妙な顔。そうだった限定焼酎をけっこうな量注文したっけ。必需品より嗜好品に重きを置くのは俺らの信条。 その中に俺も入ってるのか?千弦はその中でもスペシャルだ。聞き取れないくらいの小さな声で。相変わらず俺の鬼丸はぶっきらぼうで照れ屋の乙女男子。ムラムラします。 

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 佐久イヌ140の日常 
382-386まとめ 加筆修正 
2024.9.22
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