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体育館から戻り、学園内を再び巡回し始めた俺。今のところ、暴行が３名(＋未遂３名)、強姦未遂が５名、その他の違反者が２名という連絡が入っている。怪我人は暴行で数人出たが、強姦はすべて未遂で防げた。
しかし、おかしい。絶対転校生が何かしでかすと思っていたのだが。
「何でだよ！俺何も悪いことしてない！」
……やっぱり来たか。つーか、何で常時騒げるんだお前。どんな肺持ってたらそんな大声で叫べんだよ。
「してるでしょ！生徒会の皆様に近づいて！」
「あんたみたいなマリモごときが…」
チワワが3人……どうやら、生徒会の親衛隊のようだ。制裁だな、あれは。基本、親衛隊の制裁は親衛隊総隊長の許可が必要であり、暴行や強姦の伴うものは一切禁止とされている。また、制裁許可証の確認は風紀にも回ってくるはずだから、今回のはルール違反とみなしていいだろう。
「お前らみたいな親衛隊がそんなこと言うから、あいつらが孤立するんだ！！」
「何生意気言ってんのよ！」
「アンタが皆様に迷惑かけてるの！」
本当なら止めずにもっと言ってほしいくらいだ。もうこれ以上学園内を引っ掻き回さないでほしい。
「俺はっ、迷惑かけてない!!」
転校生がチワワに向かって腕を振り上げる。
と、同時に俺がその腕を止めた。
「なっ、お前この間のやつだな！」
転校生が俺を睨んでいる、ように見えるが髪が邪魔で正直わからないな。
「暴行未遂ですので、風紀室に連行します」
「悪いのは親衛隊だ！！俺は、」
「親衛隊は無許可制裁行為として、風紀室に連行します」
「嫌だ！俺は帝とデートするんだ！！」
何だって？……お前、恋人の俺を前にしていい度胸してるな。この地球外生命体ごときが。
…とは言えない。冷静になれ俺。
「ルール違反者は風紀室に連行する決まりで、特に暴行等の犯罪行為を犯した生徒については、生徒会の皆様に接近することを禁じてます」
よく言った！とチワワが拍手している。いや、お前らも同罪だから。
「何でだよ！意地悪して楽しいのか？！」
転校生がいきなり腕を振り回し、俺の手が外れる。うわっ意外と力強いな、と思った途端頬に強い痛みを感じた。
「お前なんか死んじゃえ！！」
ボロボロ涙を流して去っていく転校生。死んじゃえって、小学生か。
……痛ぇ、久々に人に殴られた。あれ喧嘩慣れしてるやつの殴り方だったな。
「大丈夫？」
チワワの一人が心配そうに座り込んでいる俺を見る。大丈夫です、と返事して、すぐさま無線機で他の委員に転校生の捕獲を指示する。チワワ達も風紀室に連れて行かないと……やれやれだ、ほんとに。
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