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始業式から約2週間後の昼休み、風紀室でいつものように仕事をしていた俺。風紀委員長に突然、生徒会から回ってきた書類だと言われ、紙を手渡された。
「…転校生?こんな時期に?」
「ああ、俺も不思議に思ったが、どうやら理事長絡みのワケアリらしい」
はっきり言って面倒くせぇ。しかも入試の点数満点の上に、理事長と同じ苗字……。
「裏口入学の可能性も否めない」
風紀委員長がつぶやく。言うなよ、面倒そうだから言わなかったのに。
「まあ、理事長絡みとなると、こちらも何も言えない。適当にあしらうだけだ」
清華学園の理事長は、学園で最も権力を持つ人だ。しかし滅多に表に姿を現さず、その正体は謎に包まれている。1つ言えるとするなら、イケメンである。……イケメン多すぎだろ、この学園。
何事もなければいいんだが、ほんとに。
―一方その頃生徒会室にて。
「ねぇねぇ転校生ってどんな子かな~」
「面白い子だといいな~」
青い髪をした全く同じ顔の、幼い男の子……ではなくれっきとした高等部1年生。彼らは生徒会庶務の蒼井律と蒼井陸。一卵性双子で全く見分けがつかない。本人達は、周りが見分けられずに混乱するのが面白いらしく、よく入れ替わってイタズラばかりしている。また、その愛らしい顔立ちで、ショタコンを始めとする男共を虜にしているのである。
「ん〜俺はカワイイコがいいな☆」
対してこちらは金髪にピアスじゃらじゃらのチャラ男、もとい生徒会会計、麻倉友晴である。親衛隊の子を食いまくる下半身ユルユルな男だ。ゲームやセックス、快楽になるものが好きなんだそうだ。しかし、意外に常識的なところもあり、掴めない性格をしている。
「ん…し、ずかな、子がいい……」
書紀の小波浩は、しゃべるのが苦手な癒やしのワンコだ。
「全く、貴方達は……仕事は終わったのですか?」
彼は生徒会副会長、佐渡泉。肩につかない位の黒く光沢のある髪。銀縁のメガネの奥にある冷ややかな視線。口角は上がっているのに冷たく見える表情は、M男たちを堪えぎらせる。ついたあだ名は“氷の女王様”。
―さて最後に1人。一番この学園で権力のある生徒で、抱かれたいランキング1位の男。
彼こそは、学園一の俺様である生徒会会長の皇帝。
「お前ら、仕事しろ」
「「「「会長は黙って(((〜(下さい)」」」」
なのだか……どうにも生徒会にはナメられているらしい。
「…かいちょ、どんまい…」
「浩……」
今日も生徒会は平和である。……しかし、これからが波乱の幕開けになることなど、誰も想定していなかった。
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