7.思いがけない事態

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一ノ瀬颯太。あの爽やかでサッカー部でチワワに人気のあいつが?マリモの取り巻きになっていたはずなのに。 「一ノ瀬の名前は3年の耳にも度々入ってくるが、そんな過激なやつだとは思えないが」 会長がそういうのも無理はない。ほとんどの場合、制裁は親衛隊が親衛対象者に提案するものであって、逆パターンなんて聞いたことがない。 「今回の具体的な制裁内容は、過激なものではないんだ」 「と言うと?」 「親衛隊が提示したのは3つ。転校生の一ノ瀬への接近禁止と1週間の自主欠席、1ヶ月間学園以外の外出禁止だ」 普通に俺は全然いいと思うんだが。むしろ学園のほとんどの生徒は喜ぶと思う。 「一ノ瀬本人の要求は?」 帝が追求する。 「一ノ瀬は、転校生がある人に接近することを禁じて欲しいらしい」 ある人っていうのは…… 「恋人ですか?」 「いや、片想いだと本人から聞いた」 本人ちゃんと答えたんだ。風紀委員長はふぅっと息を吐く。 「今回の制裁は俺個人として、見守っていていいと思う。制裁自体の日時と場所も申告されているんだ。それに、俺も一ノ瀬の気持ちは理解できる」 片想いしている者同士、どこかで共感してしまうのだろうか。まぁ、今回のは規則にのっとった上での制裁、というか実質話し合いだから、いいだろ。それこそ俺は、もっと過激でもいいと思っていたから、少し残念だな。 そして会長が口を開こうとした時── 「自分の気持ちを押し付けて、何が理解出来る、ですか」 急に生徒会室の扉が開いたかと思うと、険しい顔をした副会長が入ってきた。
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