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「泉?」
「感情論だけでありすの制裁なんて、私は反対です」
「いや、ちゃんとした理由もありますよ」
俺は口を挟む。
「大体……」
だめだ、聞いてねえ。風紀委員長しか見えてないみたいだ。
「一ノ瀬くんの感情を尊重して何が悪い?」
「一方的にそちら側が慕っているだけでしょう。それ以上は慕われている側にとって負担になります」
「お前が俺に対してそうだからか?」
「ええ、そうです」
緊迫した空気が流れる。
「俺だったら相手がそこまで思ってくれているんだと、嬉しくなる」
「っ、それは貴方の考えでしょう!大体何ですか、片想い片想いって!!そんな不確かなもの、いつかは消えてなくなります」
そう言って副会長は、走り去ってしまった。さっきの『消えてなくなる』発言、意味深だな。風紀委員長は黙ったまま、扉を見続けている。
「……追いかけなくていいのか」
会長が少し戸惑った声で委員長に問いかけるが、無反応。
「委員長、委員長、しっかりして下さい」
「…いや、少し考え事をしていただけだ。じゃあ皇、制裁の件はさっき話した通りで」
委員長は何事も無かったかのように話し、生徒会室を後にする。委員長には考えがあるようだが、このままで本当に大丈夫なのか。しかも制裁もとい話し合いは、明日の放課後実施されるというのに。
俺たちは生徒会室をあとにした。
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