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蓮巳仁。あの、うちのクラスの担任のホスト教師。爽やかさが売りの一之瀬が、あの蓮巳を。誰も想定しない展開だった。
「一之瀬は蓮巳が好きだったのか、なるほど」
委員長、納得できんのはあんただけだよ。
帝は驚きでつぶやく。
「意外と年上が好みなのか」
いや、そこじゃねぇよ。天然さんか。
『何で仁に近づいちゃだめなんだ?』
転校生はKYだ。今の流れならどう考えてもわかるだろ。
『それは…僕が先生を好きだから』
一之瀬はすぱっと、言い切った。男前。
『本当は別に、近づかないでとまでは言わなくてもいいんだけど、でも名前呼びは聞きたくない』
『でも、仁が言ったんだぞ?名前呼びさせてくれって』
『え…』
一之瀬はショックを受けて、黙ってしまった。そして親衛隊長が憤慨する声がする。
『嘘言わないでよ!お二人は相思相愛なんだから!』
『俺は嘘なんか言ってない!!』
『ちょっ…!隊ちょ…落ち…いて!』
やばそうな物音がする上に、音声が乱れている。
「木島」
「はい」
俺達はすぐさま会議室に移動した。ドアを開けると、中では、親衛隊隊長の胸倉を転校生がつかんでいた。委員長は転校生を羽交い締めにして、引き離す。
「れ、黎人、」
「今日はもう話し合いにならないだろう。また後日にしよう」
委員長は転校生を無視して、副隊長に話しかける。
「そ、うですね。隊長」
「……うん。そうする」
「……」
一之瀬は未だに黙ったままだ。
「一之瀬以外のやつは解散してくれ」
「あ、帝だ!帝、久しぶりだな!!」
何故そうなる。風紀委員長の言葉遮る奴とか初めてみたわ。
「…姫宮、後で話をするから、今は帰ってくれ」
「本当か?わかった!またあとでな!」
転校生は帝の言葉を聞いて、すぐに去っていった。
「「一之瀬様をよろしくお願いします」」
親衛隊隊長と副隊長は、丁寧にお辞儀してから帰っていった。
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