8.衝撃の告白

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* 「一之瀬、大丈夫か」 「……わかってたんです。眼中にないことくらい。それでも好きな人ができるなんて、思ってなかったから」 委員長が声をかけると、フリーズしていた一之瀬はやっと反応した。 「恋って難しいですよね、本当に」 「あの、一ついいですか?」 感傷に浸っているところ、申し訳な いが。 「蓮巳先生、転校生のこと好きじゃないと思いますが」 「「は?」」 委員長と帝が驚いている。一之瀬も動揺しているようだ。 「何故そう思うんだ?」 「名前呼びの件は?」 「理事長の名前って、知ってますか」 「そんなの姫宮に決まっ、て…」 そういうことか、と帝と委員長は気づいたようだ。 「えっと……?」 「自分の雇用主と同じ苗字は呼び捨てにしにくい」 帝が一ノ瀬に教える。しかし、一ノ瀬は食い下がる。 「でも!それだけじゃ…」 「転校生と蓮巳先生はHRや授業中以外関わりがありません。また、転校生が蓮巳先生に会いに放課後に行っても、数学教室でこもって、居留守を使うこともあるそうです」 むしろ、あからさまに嫌ってるだろ。 「木島、何故そんなことを知っている?」 「新入生歓迎会の後始末で、委員長が多忙だったとき、田中と佐藤に個人的に調べさせました。一応蓮巳先生のファンクラブの動向を見るついでで、あまり緊急性を感じなかったので報告してませんでしたが」 「……うちの委員は優秀だな」 委員長が微笑む。風紀でも特に優秀な田中と佐藤を使って調査したから信頼性は高い。 「おーおー、本人居ないところで、色々と調べちゃって」 「!先生」 蓮巳が入ってきた。どうしてここに? 「一ノ瀬の親衛隊の奴らが言ったんだよ、一ノ瀬サマのところに行け、ってな」 「先生、僕は…」 「俺が転校生を好きとか、変な勘違いさせてたのは謝る」 「違う!僕はあなたに謝って欲しい訳じゃない!ただ……」 「わかってるから、それ以上言うなよ。…お前の気持ちが変わってなかったら、卒業式ん時に思ってること全部言いに来いよ」 「先生……」 甘い2人の空間ができる。なるほど、結局転校生なんか蚊帳の外で相思相愛だったわけか。俺達邪魔者は退散するとしよう。お幸せに。
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