9.恋する生徒会

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9.恋する生徒会

結局制裁の件はうやむやになり、転校生が極力蓮巳に近づかないということで収まった。 「まさかこのタイミングでいずみんと風紀委員長がくっつくなんてねぇ。長かったねー☆」 「黙りなさい、麻倉。そんなに仕事を増やされたいんですか?」 「ごめんなさい」 またしても生徒会室。事務書類を届けに、俺と委員長が来ると、会計が早速冷やかしはじめた。副会長に屈しているが。 「あ、そういえば浩も最近いい人が居るみたいですね」 「ん…おれ、も」 副会長がさり気なく自分から話題をそらす。 「まだ…友だ、ち」 「あ、クリミちゃんでしょ~」 「そうそう2年生だよね〜」 「おい、お前ら。恋バナするなら、どっか他の所でやれ」 帝が何やら不機嫌そうだ。 「「会長羨ましいんだ〜」」 「会長も恋人作っちゃえば〜?」 帝、双子と会計にナメられているな。と思っていたら、次の瞬間、帝はとんでもない爆弾発言を落とした。 「恋人は居る」 「「「「「……は?」」」」」 おい、バ会長。何言ってんだ。 「「「「「えええええ!!!」」」」」 ……あーもう知らね。勝手にバラしやがって。次、家で会ったときはまずデコピンする。 「え、えぇ〜本当に?」 「……嘘ではないですよね?」 ほら見ろ、唐突過ぎて皆疑いの目を向けてる。 「いつから付き合ってるんだ?」 委員長、面白がってるな。笑みがムカつく。 「……高1の終わり頃からだ」 ………。 「結構前からなんですね」 みんな驚きで固まっているので、俺が答えた。初めて聞きました、かというように。 「…えー長すぎじゃない?」 会計がいち早く復活。そりゃ一夜限りのお前に比べたら、誰だって長いだろうよ。 「「何で言ってくれなかったの〜?」」 「いちいち言う必要あるか?」 「「え〜、僕らがからかうため?」」 「……だから、言わなかったんだ」 前に『隠すのしんどいなら、生徒会の人には、バラしてもいいけど』と、帝に言ったことがある。そのとき断固拒否していたのはそういうことか。 「あい、て…誰?」 「浩、悪いがそれは言えん。お前達のことは信用しているが、どこから情報が広まるかわからんからな」 「…確かに会長に恋人がいるとなると、生徒達の反応が怖いですね」 「大変だな、お前も」 委員長、心にないこと言うな。恋人の近くにいる男が安全パイだとわかって、安心してるくせに。 「えー気になるー☆」 「「教えて〜」」 「絶対言わん」 生徒会室は恋バナで満ちていたのだった。いや、仕事しろ。
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