9.恋する生徒会

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* 「………恋人にする仕打ちか?」 期末テスト発表直後の休日。テスト前は生徒会も風紀も仕事は程々にし、学業に専念することになっている。と、いうわけで、帝の家で勉強することになったのだが。 「当たり前だろーが、エセ俺様め。心当たりがあるだろ」 帝がドアを開けた瞬間、例のデコピン(威力増強版)をくらわせた。そして、現在ソファで撃沈。ざまあみろだ。 「…勝手に話して悪かった」 帝が素直に謝る。かわいいかよ。 「別に話した事自体はいいけど、何でいきなり?」 「……羨ましかった」 「はぁ?」 「堂々とイチャつけるあいつらが」 今更か? 「神谷も佐渡もずるい。俺だって恋人自慢してあんな幸せな顔をしたい」 帝が隣に座る俺にもたれかかってきて言う。委員長も副会長も、付き合い始めてから以前よりも柔らかい顔をするようになった。お互いに向ける笑みも優しげだ。……確かにちょっと羨ましいかもな。だけど 「ばーか」 「な、」 「あんたのそんな顔、他の奴らに見せたくないから、俺は」 ぽかんとした帝の顔は、俺の言葉を理解してボッと赤くなった。そして俺はソファに座って帝にもたれかかった。 「帝もそうだろ?」 俺の普段動かない表情もお前の前だったらこんなに豊かになるのにな。他のやつにそれ見せていいの? 「……それを言われたら、俺が何も言えなくなるのわかっているんだろうが」 「当然」 でも、 「俺の色んな表情独り占めしたくない?」 「……もう十分だ。それ以上言われたら勉強どころじゃなくなる」 そうして帝の不満は収まった。俺としては、もうちょっと続いても良かったとも思うのであった。
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