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10.友達
「……眠い」
「木島のそれ、一年に何回聞いたらいいわけ?」
隣の栗見が答える。現在俺達は一学期期末考査結果の学年順位表の貼り出しの前に居る。ちなみに今回の寝不足はどこぞの会長様のせいだ。テスト終わった途端、朝まで付きあわされた。明日学校だからっつたのに。マジで腰バキバキな上に、眠い。
「1位取ったんだから、眠気な顔しないでよ、ムカつくでしょ」
栗見が溜息をつく。俺は特待生だから5位以内じゃないと、特待制度から除外される。役職持ちにも指定はあり、風紀の委員長、副委員長は15位以内とされるが、特待生は特待制度が優先されることになっている。そのため俺は風紀の仕事の上に、定期考査で5位以内取らなければならない。
「昔から頭だけは良かったんだ」
「だけなんだ」
そこは強調しないでいい。十数年生きてたら自覚するわ。正直、頭の良さも暇なとき勉強していたというだけで養われていた。中学校のときから、あんまり趣味とか興味のあるもの持っていなかったからな。けど、今は大切なものができて、時間が足りないくらいだ。何がとは言わないけど。
「木島君。流石だね」
ぼっーとしていると、一ノ瀬が話しかけてきた。あの制裁がの件があってから、一ノ瀬は転校生から離れ、別の友人とつるむようになった。転校生は不満気だったが、如月に宥められて収まった。あと、ついでに、よく俺らに話しかけてくるようになった。
「何言ってるの。一ノ瀬君4位で不満?なら僕と変わってよ」
「325人中132位って微妙だな」
「木島は黙ってて」
キッと俺を睨む栗見を見て、一ノ瀬が笑う。
「前から思ってたけど、2人とも意外な組み合わせなのにすごい仲良いよね。もしかして付き合ってるのかなあって」
「僕の書紀様への愛を疑う気?」
栗見本気で威嚇すんな。一ノ瀬がちょっとビビってる。
「ご、ごめん。でも一年の時から意外だなーって思ってて。悪い意味じゃないけど、栗見くんも木島くんも馴れ合いとか興味なさそうに見えるから」
まぁ、実際合っているが。そもそも俺と栗見がつるみ始めたのは大して何でも無いこからとだったりする。
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