13.体育祭の始まり

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「皆さん、本日は天候にも恵まれ、待ちに待った体育祭がやって参りました。……」 「そんな待ってないけどな」 「ね、もう当日?って感じ」 秋晴れで少し肌寒いと感じる今日、体育祭が開催される。放送部の声をBGMに生徒はガヤガヤと興奮気味に騒いでいる。俺と栗見は落ち着いてる。インドア派はたとえ他の行事は騒いでも体育祭だとテンションが下がるというのは世界の常識だ。 「木島くん、栗見くん!」 爽やかかつキラキラオーラをまとった一ノ瀬がやってきた。爽やか越して爽快すぎる。 「2人ともはちまき付けないの?」 「「あ、忘れてた」」 体育祭は基本学年対抗で行われる(その学年の担任と副担任の教師はそれぞれ自分が所属する学年のグループに分けられる)。はちまきの色が学年によって違うのだが、今年は2年は浅葱色のはちまきだ。1年は菖蒲色、3年は珊瑚色。日本の伝統色から選んだらしい。ちなみに去年は雪、雨、雷の色だった。 「〜っもう!木島、結んで!」 「お前ほんとに不器用だな」 栗見ははちまきを巻こうと格闘していたがうまく結べず諦めたらしい。取れたら結べないだろうと思ってギュッと強めに結んでやった。 「栗見くん、体育祭終わったら小波様と交換する?」 一ノ瀬がそわそわとしながら話しだす。流行ってるんだよな、恋人とか好きな人とはちまき交換するっていうやつ。 「うーんしたいけどさ…でも…」 「出た、乙女栗見」 「木島、なんか言った?」 ぼそっと呟いだが、バレたらしい。 「まぁまぁ、落ちついて。でもやっぱり不安だよね、交換してもらえるかって」 「そう、そうなの!この間小波様にはちまき交換するのお願いしようって言ってる子がいて余計に…」 栗見が目に見えてしょぼくれている。 「僕も蓮巳先生にお願いしたいけど、大丈夫かな…木島くんは?」 「俺はまあ去年も交換したしな」 断じて俺からしたいと言ったわけではない。親衛隊やら熱烈なファンやらが無理矢理交換してこようとしたり盗もうとしたりするのから守り抜いて帝が俺に交換しようと言ってきた。そこまでしなくてもと思ったが…正直嬉しかったというのはある。 「この…リア充め…」 「いいなあ…」 恨みがましい目で俺を見るな。 「そんなに心配なら一発で交換してもらえる方法教えようか」 「「え、何?!教えて!!」」 一通りやり方を教えるとふたりともやる気に満ちた表情になっていた。これで大丈夫だろ。あとは書記と蓮巳の理性に託す。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ スター特典ではちまき交換の話が読めます。気になる方はぜひ読んでみてください。
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