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「さあさあ始まりました、クラス対抗リレー!各クラスの熱い戦いが始まる!!」
一発目からテンション高いな、放送部。
「木島、寝ないで。このあと一ノ瀬くん応援するんだから」
「わかってるよ」
「あくびして言わないでよ」
生徒席で栗見に肩を揺さぶられつつ生徒会専用席にいる帝の方を見る。意外と似合ってるな、珊瑚色のはちまき。
「…1年生お疲れ様でした!お次は2年生!おおっーとこれはまた大物が勢ぞろいだなあー」
2年生のランキング上位者でクラス対抗リレーに出るのは一ノ瀬と西城、あとは陸上部とかサッカー部とかの割と顔のいい奴らが5人ほど出ている。
「勝てると思う?」
「五分五分。多分あの陸上部の秦野が一番速い」
陸上部の秦野紘人は全国大会でも短距離で好成績を収めている。抱きたいランキングでは中上位だが、元気系の受けとして人気。恋人はいないが片思いの相手がいるらしく周囲が応援中らしい。
…駄目だ風紀にいると他人の個人情報のいらんところまで記憶してしまう癖がついてしまった。
「スタートしました!速い全員風の如く早い!」
確かに高校生の体育祭にしてはレベルが高い。あっという間に終わりへと近づいていく。
「あ、また抜かれた!7位中今3位だよ」
秦野は一走目も走ったが、アンカーでも走るらしい。一ノ瀬はアンカーだが大丈夫なのか。
「木島、木島!一ノ瀬くん出るよ、応援して!!」
「頑張れー」
「もっとやる気出して!!」
「この騒音じゃ聞こえないだろ」
体育祭で血肉湧き立つ男どもの声はほんとにでかくて普通の声はかき消されていく。蒸し暑い……。
「おおっと一ノ瀬選手が爽やかかつものすごいスピードで2位の選手を追い越していく!しかし、トップを走る陸上のエース、秦野選手に勝てるだろうか?!」
まだ秦野との間には5メートルほどの差があるが……
「ああ、勝つな」
「?どっちが??」
栗見はまだわからないらしい。
そして……
「ゴール!!2Aが1位です!」
わあああぁぁとクラス席から歓声が上がる。結果、一ノ瀬が秦野をゴールテープ直前で追い抜かした。
「一ノ瀬くん、急に最後スピード上がってよかったね」
「栗見あれ見ろ」
はしゃぐ栗見に理由を教えてやる。
栗見は俺が指した方向を見ると
「あーなるほど…」
と言った。
そう、たまたまゴールテープを持つ担当教員として蓮巳が選ばれていたわけだ。
「さあ、一ノ瀬選手、一位になった感想をどうぞ!」
「最後負けるかと思ったけれど、どうしても(好きな人に)勝った姿を見せたかったので、すごく嬉しいです」
「ありがとうございます!爽やかオーラ120%の笑顔頂きました!」
そうして第一種目は終わった。
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